リコー杯プロ棋士ペア囲碁選手権

● リコー杯1998 第3回戦・準決勝戦 ●

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平成9年12月20日、6日の第1・2回戦に引き続き、東京・港区のTEPIAホールにて決勝トーナメントの準々決勝・準決勝がおこなわれた。
さて、決勝に駒を進めるのはどのペアか。熱く、華やかな対局が繰り広げられた。
トーナナメント戦に進んだペアは、初顔合わせの前回よりも、しっくりとした雰囲気になっている。1局打つごとに呼吸もぴったりと合ってきているのだろう。

会場につめかけたファンは、対局者の迫力に満ちた姿をじっくりと見るタイプと、4局すべての進行をモニター画面で鑑賞するタイプにわかれて観戦。


注目カードは、吉田・趙ペアVS西田・片岡戦。他がまだ布石を打っている段階なのに、早くも捕り物劇が始まり、毎回シノギの碁になっている吉田・趙ペア。シノギの名手、趙の一人旅であれば何の心配もないが、ペアの場合は呼吸が乱れると、一気にツブれる恐れがある。ハラハラ、ドキドキの展開で、目が離せない。吉田六段が、「つぶれてると思った」という大石を、いつの間にか攻守逆転して大威張りでしのぐ趙マジック。300手を越える大熱戦の末、吉田・趙ペアの勝ちムードだったが、作ると逆の白3目勝ち。西田女流名人が攻め、片岡九段が冷静にまとめる、静と動のコンビネーションが見事だった。

ベスト4の顔ぶれを見ると、加藤十段に弟子の西田女流名人、梅沢初段と加藤一門が強さを発揮、逆に優勝候補と言われていた小林(泉)・大竹ペアは姿を消してしまった。

準決勝では、まず師弟対決の矢代・加藤ペアが梅沢・小林(覚)ペアに黒番1目半勝ち。師匠に白を持った梅沢初段は、「加藤先生のヨセと私のヨセでは、とてもとても・・・。加藤先生に優勝して欲しいです。」
もう一方の対戦は、青木・本田ペアが大熱戦後の西田・片岡ペアを黒番中押し勝ちで退け決勝進出。西田女流名人は「さっきの碁で力を使い果たして・・・、5手目で打つ順番がわからなくなって・・・」、片岡九段も「燃えつきました・・・」


勝ち残った4人は初の決勝進出。それぞれ「パートナーのお蔭」と同じコメント。
実は、この両ペア、予選の第1回戦で対戦していて、その時は矢代・加藤ペアの黒番半目勝ち。青木・本田ペアは、その後2連勝して決勝トーナメントに復活していたのだった。
全て黒番を引き当ててきたツキのある矢代・加藤ペアと、総合力は一番と評価が高い青木・本田ペア。さて、雪辱なるか、返り討ちなるか、1月25日の決勝戦が待ち遠しい。


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