リコー杯プロ棋士ペア囲碁選手権
report

■リコー杯2000 決勝戦

封じ手が開封された。武宮九段の予想にもあった手で、「3通りのうち、最も素直な手」(武宮九段)だそうだ。(正解は10の十三で有効投票総数442名中127名で一番多かった)
盤上は引き続き、手に汗握る戦いが繰り広げられている。一進一退の攻防が続く中、白の強烈なパンチが決まり、形勢はグンと白に傾いた。
ところが黒の放った勝負手を受け損ない、まだ白有望ながらも難しくなった。その後の戦いで白がうまくやって、武宮九段が「こっちがこれです」と、白石を指した後に両腕でマルを作る(白の勝ちです、の意)ところまで進んだ。
しかしここから立て続けに事件が起こった。
戦いの途中で白が手入れを怠り、別のところへ打ってしまった。黒がすかさずそれを咎める手を打ち、武宮九段は今度は黒石を指して「こっちがこれです」。
攻め合い黒1手勝ちの目が大盤に示され、誰もが黒勝ちを信じていたが、攻め合いに勝つ筋が2通りあったのが黒にとっての不運だった。プロは習慣的にこういう場合、片方を読み間違えているのではないかと感じ、読み直そうとする。それで時間に追われ、いかにも利きそうな時間つなぎを打った。白は背に腹を変えられず、黒の命令手に手抜きして、連打を許して苦しいながらも勝負を先延ばそうとした。なのに黒は連打しなかった。錯覚があったのでは仕方ないのだが、別の心配事に備えてしまった。白に手を戻され、意外な形で熱戦の幕が閉じられた。

終局場面

終局場面

局後の検討

局後の検討

吉田六段 「全部、東野先生に勝たせてもらいました。すべて東野先生のおかげです。一生頭が上がりません。だけど"美香ちゃんだけは優勝できない"って私をイジメてた人たちを見返せました。」(笑)

東野九段 「今回、ペア碁の方が才能あるということに気付きましたので、これからはペア碁一本に生きて行きます。」


対局後の「次の一手」正解者抽選会

対局後の「次の一手」正解者抽選会

対局後の「次の一手」正解者抽選会

対局後の「次の一手」正解者抽選会

対局後の「次の一手」正解者抽選会

懇親パティーで優勝ペアによる乾杯

優勝ペアには賞金500万円が贈られた。そのうちの100万円はチャリティーとして囲碁用品を購入し、全国の小・中・高校に寄贈され、囲碁普及に役立てられる。

優勝ペア表彰

日本ペア囲碁協会より表彰状授与
瀧久雄日本ペア囲碁協会評議員・事務局長

リコー杯授与
(株)リコー湯浅寿生理事

優勝賞金目録授与
(株)リコー湯浅寿生理事

日本棋院より表彰状授与
川村匡迪日本棋院常務理事

読売新聞社より表彰状授与
郡司照夫読売新聞事業開発部次長

準優勝ペア表彰

日本ペア囲碁協会より表彰状授与
瀧久雄日本ペア囲碁協会評議員・事務局長

準優勝賞金目録授与
(株)リコー湯浅寿生理事

読売新聞社より表彰状授与
郡司照夫読売新聞事業開発部次長

決勝戦棋譜

(取材:高 成謙)