リコー杯プロ棋士ペア囲碁選手権
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本命は前回優勝ペア、対抗は?

大会の展望は例年だと大竹英雄九段の役目だった。今回は残念ながら欠席で、石田九段はピンチヒッター。いきなりの指名で困った様子だったが、実際、ペア囲碁の予想は難しいようだ。

そこで、各ペアが勝ち進むための条件というニュアンスの変則的な予想に。たとえば、小西和子六段・小林覚九段ペアについて「小西さんは以前に橋本昌二先生をリードして優勝してますね。覚君しだいで優勝候補」、あるいは佃亜紀子四段・王立誠棋聖ペアについて「佃さんはいま非常にいい成績。立誠君はだれが相棒でも器用に合わせられるから、かなり有力」という具合。そのなかで、あえて優勝候補は「前回優勝の吉田美香七段・東野弘昭九段ペアがやはり本命でしょう」と言う。
今回は「これは」というペアが見つからないだけに、意外なペアが出てきそうだ。

それぞれの決意を胸に
組み合わせが決まった各棋士は、それぞれの決意を胸に秘める。少し声をひろってみよう。


林海峰九段「(自分の年齢が高いから)1勝で準々決勝に行けると思ってたんですけど、パートナーの大沢さんが若いので、そうもいかないようですね。ただ、今回は決勝戦が台湾ですから、狙っています」
小川誠子六段「昨年から大会実行委員推薦枠ができましたよね。今年は私と武宮先生(正樹九段)なんですけど。本当に私が出てもいいのか悩んでしまって、武宮先生に相談に行ったんです。そうしたら武宮先生、『トモちゃん、ラッキーだね。V、V』ってVサインするんです。なんだかホッとしました。ただ、変な手を打つとパートナーの石田先生にため息をつかれそうで、それだけが心配です」

大沢奈留美二段「変な手を打っても温かく見守っていただけそうなので安心です。来年出られるかどうか分からないので、精一杯がんばります」

加藤正夫九段「ペア戦もだいぶ慣れてきました。しかも今回は有利な条件ですから、いまから準決勝、決勝をどう戦うか考えてます。ライバルは前回優勝ペア。早碁はベテランの成績がいいんです。だから、うちのペアが優勝候補ナンバーワンでしょう」

小林覚九段「実はきょうの抽選会、杉内先生と組むという一点狙いだったんです。そのときは1、2回戦を着物で対局するつもりだったんですが……。でも考えてみれば実際のパートナーは優勝経験のある小西さん。すべて小西さんに任せます」
清成哲也九段「初出場でもちろん優勝を狙ってるんですが、ひそかにダイエットしてベストドレッサー賞も狙っています」

梅沢由香里四段「(年齢の高い)林先生を狙っていたんですけど。結局は、合計年齢が一番若いペアになってしまい、2連勝するしかないんです。でも長い目で見れば(趙善津九段は)結構いいパートナーだと思います」
山下敬吾碁聖「初めての出場でペア囲碁が良く分からないし、(自分が若いから)2連勝しないと準々決勝に進めません。きついかもしれないけど、新海洋子先生の足を引っ張らないよいうがんばります」


矢代久美子三段「実は、いままでの大会は全部出場できたんですが、今年の成績がひどいので来年の選考基準に届きません。だから、次回も出るために、今回優勝するしかないんです」

1、2回戦は12月2日(土)正午から、東京・江東区のTFTホールで幕が開ける。
(取材:横内 猛)