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さて、始まった一回戦。一番最初に終わったのは、小川・加藤(正)ペア ― 矢代・柳ペアだった。
上は敗者の小川六段と加藤九段ペア。左は勝者・矢代五段と柳九段ペア
碁盤を見ると小川・加藤(正)ペアの大石が死んでしまっている。
小川 100%私のせいです。生き死にを読み間違えてしまって・・・」
嘆く小川六段の隣で加藤九段がただただ、微笑を浮かべていたが、もしかして微笑ではなく苦笑だったのかも・・・。
相手ペアの二人にも話を聞くと、こちらはさすがに意気揚揚とした様子。
いやー完勝だね。矢代さんが思い切りがよくて僕が悩んじゃうような場面で、全部方向を決めてくれたんだよね。僕はついてくだけで良かった」
矢代 結構、うまくいきました。息が合ってるかも」
マイケル・レドモンド九段によるモニター解説風景。聞き手は潘坤ト初段。
続々と、結果が入ってくる。一回戦の結果は以下のとおり。
勝者ペア   敗者ペア
小林泉美・山下敬吾ペア VS 井澤秋乃・小林光一ペア
吉田美香・石田芳夫ペア VS 知念かおり・羽根直樹ペア
矢代久美子・柳時熏ペア VS 小川誠子・加藤正夫ペア
岡田結美子・張栩ペア VS 祷陽子・二十五世本因坊治勲ペア
大澤奈留美・結城聡ペア VS 梅沢由香里・王立誠ペア
小山栄美・中野泰宏ペア VS 青木喜久代・大竹英雄ペア
佃亜紀子・林海峰ペア VS 小西和子・王銘エンペア
加藤朋子・趙善津ペア VS 杉内寿子・依田紀基ペア
1回戦終了後の予選対局勝敗表
控え室に対局を終えた棋士が戻ってくる。対局前の遠慮はどこへやら、口々に終わっ たばかりの熱戦を振り返って議論が熱い。
「あの時、あそこで・・・」「だからそれ は」、考えてみれば一局の碁に関して同士を得て検討することができるのも、この大 会だけのことなのだ。
さて、一回戦。意外だったのは優勝候補と目されている祷・二十五世本因坊治勲ペアが負けたこと。
先生、ごめんなさい。読み間違えて・・・」
治勲 いやいや。僕たちどうもペア戦は勝つものだと思っているから油断があったんだね。次は本気で行きましょう。目指すは優勝で一回戦に勝つことじゃないですから」
「絶対勝ってるはずだったのに」の声で帰ってきたのは小林光一九段。
いやー。大 勝ちしてたのにね、最後ちょっと緩んじゃったら半目負けちゃって参ったね。それに しても井澤さんはいいところに打ってくれるよ。強い」。
負けた相手は小林泉美・山下ペア。
「泉美の手はだいたい読めてたんだよ」とお父さん。しかし、泉美さんはそれ以上にお父さんの着手を予想できたのかも。
なお、対局の終わった棋士のもとにはファンが詰めかけてサイン攻めになる光景も見 られた。
中でも一際、ファンを集めていたのが張本因坊・王座だ。
名高い「詰め碁サイン」を書いてもらおうとファンが殺到、若い女性の姿が多いのが特徴だった。
花束を抱え女の子のグループに話を聞くと、「この花束は王座就位のお祝いです。張さんの魅力?やっぱり手が見えるところじゃないですか」。
中には小さな男の子の姿も。こちらに話を伺うと「強くてかっこいいから好き」。な るほど・・・。
サインをする依田名人
サインをする張本因坊・王座
サインをする小川六段