対局開始と同時に、大盤解説もスタートした。解説は華以剛八段、聞き手は張璇八段。中国のテレビ囲碁番組でも人気のコンビだ。スペシャルゲストとして常昊九段も招かれ、中国ファンにとってはたまらない布陣。ここでも中国棋院の本棋戦の歓待ぶりがわかる。 |
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大盤解説 解説:華以剛八段 聞き手:張璇八段 |
さて、大盤解説が始まって驚いたのは、華八段と張八段の弾丸のようなトークだ。蘇七段によれば、「ほとんどが雑談(笑)。ほんと、雑談が多くて驚きました」。会場を見渡せば、皆満面の笑みで聞き入っている。華八段の話術は、観客たちの、もう一つの楽しみでもあるようだった。華八段は、ときおり、「ジュウビョーウ」と矢代五段の秒読みの声色を真似るお茶目ぶりも発揮していた。 |
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大盤解説の途中、林海峰名誉天元、陳祖徳九段、常昊九段、聶衛平九段、徐瑩五段らが次々と壇上に呼ばれ、解説と雑談(!?)に加わった。徐瑩五段は、中国代表ペアを決める予選時の話を披露。「常昊九段・張璇八段ペアと戦ったのですが、私は失敗ばかり。その度に、聶先生が大きくのけぞられ、私は本当につらい思いをしました」。内容的には「つらい」話なのだが、観客は皆大声で笑っている。やはり話術が巧みなのだろう。 |
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聶衛平九段の解説にも、会場は大いに盛り上がった。「白(三村・青木ペア)が断然優勢」ときっぱり断言して壇上から降りたが、その直後に形勢が黒に傾くと、華八段がすかさず「聶九段に形勢を尋ねたあとは、必ずいつも反対の結果になりますね」と会場を沸かせていた。 優勢を築いた黒がこのまま寄り切るかと思われたが、白が粘りをみせ、盤上は混沌としてきた。 華八段は「さあ、皆さんのために、熱戦にしてくれているのですよ。拍手をしましょう!」と会場に呼びかける。おりしも、盤面は勝負どころを迎え、一手一手に「おおおー」とどよめきの声があがる盛り上がりよう。さらに、白の強手には、割れんばかりの拍手が沸き起こった。 |
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かくして、観客と一体となった熱戦は、白の大逆転という形で幕を下ろした。 |