リコー杯プロ棋士ペア囲碁選手権2005
report

控室に戻ると、すでにリコーの協力でコピーされた棋譜を手に、両ペアは熱心に検討を続けていた。そして、休む間もなく、日中ペア碁エキシビジョン対局が始まった。

日中ペア碁エキシビジョン対局開始

中国の予選を勝ちあがった聶衛平九段・徐瑩五段ペアと、たった今優勝を決めた三村・青木ペア。解説と聞き手は同じく、華以剛八段と張璇八段だ。聶九段といえば、今でこそ一線を若手に譲っているが、かつて日中の団体戦スーパー囲碁では負けない「鉄のゴールキーパー」の名をはせたもの。日本のファンにも馴染みが深い。徐瑩五段はとびきりの美人棋士だ。
三村智保九段・青木喜久代八段ペア
徐瑩五段・聶衛平九段ペア

対局開始

さて、この対局は「エキシビジョン」にふさわしく、波乱に満ちたスリリングな展開となった。
まずは、黒番の中国ペアの大石が死んでしまう。観客席もさすがに意気消沈した空気。青木八段は「どうして相手は投げないんだろうと思いながら打ってました(笑)」。


スペシャルゲスト 常昊九段が解説

しかし、勝負はわからないもの、その後、決勝大一番の疲れもあってか、青木八段のうっかりミス。形勢は一気に細かくなってしまった。会場はにわかに活気づいてくる。
この対局も決勝戦同様、一手30秒以内、途中一分単位で10回の考慮時間を使えるというルール。この頃には両ペア共に「考慮時間」を使い果たしている。そういえば、決勝戦の後、加藤四段と矢代五段、井沢三段らが「30秒といっても、二人で打つときは、15秒ぐらいしか考えられない」「あ、そうか。相手が自分の読みと違う場所に打ったら、その手の意味を考える時間もとられちゃうもんね」といった雑談をしていたものだ。そんな短い時間の中、しかも大観衆の前で、正確に打てるのは神業だろう。ヨセ勝負だが、どちらに転ぶか全くわからない。
終局し、勝敗の結果を固唾をのんで待つ。日本ペアが辛くも半目勝ちという報に、会場からは大きな大きな拍手が贈られた。


終局