Pair Go RICOH CUP 2006 〜リコー杯プロ棋士ペア碁選手権2006〜
大会レポート Tournament Report
< 1回戦、2回戦 >

「リコー杯プロ棋士ペア碁選手権2006」が開幕。トッププロ32名16組による豪華な祭典は、囲碁ファンの間でもすっかり定着した。32名の一流棋士が一堂にそろうのは、プロ棋士たちにとっても滅多にないこと。一年に一度、「プロペア碁」の1、2回戦が行われるこの日だけかもしれない。そのせいか、棋士たちも普段の対局時には見られないとびきり明るい表情。ファンと共に大いに盛り上がった12月3日の大会模様をお伝えしていこう。


今年も、会場は東京、恵比寿ザ・ガーデンホール。年々増え続ける来場者数は、昨年の1100人強を大きく上回り1264名を記録した。11時前に会場入りした今大会の審判長・大竹英雄名誉碁聖は「もうたくさんの人が入り口に並んでたよ。驚いたね!」。ちなみに、開場時間は11時半だが、10時半頃から列ができ始めていた。


11時になると、控室に、棋士たちが次々と到着し始めた。
数日前に王座戦を防衛したばかりの張挧名人・王座と小林泉美六段夫妻は、鈴木歩三段と共ににこやかに現れた。さっそく大竹審判長が夫妻に「二人はペアじゃないんだってね。残念だね」と声をかける。
張挧名人・王座とペアを組む鈴木歩三段は「張さんとたまたま電車が一緒になったので、もう作戦を立ててきちゃいました。心理的な作戦です」と自信たっぷりな様子だ。
泉美六段のペアは山下敬吾天元。二人がこっそり作戦会議を始めると、やや距離をおいて、夫君がにこにこ二人を見つめている。その視線に気がついた山下天元は「あそこで、すごく聞かれてる!」。

組み合わせ抽選会の席で、本大会の大盤解説者でもある武宮正樹九段が優勝候補の筆頭にあげたのが、依田紀基碁聖と矢代久美子女流本因坊ペア。「ただし、依田さんが和服を着てくるかどうかが、大きなポイント」というコメント付きだった。果たして、依田碁聖はここ一番の勝負服、和服姿で現れた。矢代女流本因坊は「よかったです!」。依田碁聖は「最初の打ち方だけでも決めておきましょう」と、さっそく作戦会議を持ちかけるほどの気合の入れようだ。


関西棋院同士となった結城聡九段と小西和子八段ペアは、昼食をとりながら和やかにおしゃべり。「作戦は?」と尋ねると、「この人の棋風はだいたいわかってますから」と結城九段。作戦を立てるまでもない、ということらしい。こちらも自信満々の表情。

羽根直樹棋聖とペアと組む井澤秋乃三段は、前日、羽根棋聖の奥様しげ子初段と服装の色合わせの相談をしただけらしい。何組ものペアが次第に戦闘ムードを漂わせ始めると、私たちも作戦も立てないと…とそわそわ。羽根棋聖に「どのようにでも」と振られて、井澤三段「(作戦の)立て方がわかりません」と周囲を笑わせていた。


何組かのペアの作戦会議に耳を傾けると・・・ 王銘エン九段・大澤奈留美三段ペアからは「いつもバラバラでいいから、お互いに好きなように打とう」と、銘エン九段らしい言葉が、 小林光一九段と祷陽子五段の師弟ペアからは、光一九段の「どちらかというとゆっくりした碁にしようか。陽子ちゃん、最近はけっこう足早な碁になったね」と師匠らしい優しい言葉が聞こえてきた。 山田規三生八段と加藤朋子五段のペアは、山田八段が「僕はごちゃごちゃやっていくのが好きなんだけど…」と言えば、加藤五段が「私は、手どころに不安ありです」。それは困ったとばかり、二人で大笑いしていた。 かくして、棋士たちは大会会場へ。暖かい拍手でファンたちが迎えた。




開催に先立ち、まず本大会主催者、財団法人日本ペア囲碁協会会長の松田昌士氏のご挨拶。

松田「皆さん、よくお集まりいただきました。吉國一郎先輩のあとを受けまして、ペア囲碁協会の会長を承りました松田でございます。このペア囲碁は、最初の頃はそういう競技は成り立つのか、という声も多く聞かれましたが、どんどん普及いたしました。今は外国におきましても、特にヨーロッパ、アメリカでの普及は目覚しいものがございます。日本は女性が強くなってまいりましたが、欧米ではまだまだ男女が同じ競技をすることなどは、ほとんど考えられません。その意味でも、これから益々普及拡大していくものと確信しております。また、これだけの第一線の棋士の方々にお集まりいただけるのは、リコーさんのご協力の賜物と感謝しております。棋士の先生方も楽しみながら打っていただけるものと思います。これからもどうぞおつきあいくださいますよう」




それから、本大会のスポンサー、株式会社リコー最高顧問の浜田広氏、財団法人ペア囲碁協会名誉会長の吉國一郎氏、財団法人日本ペア協会理事の滝裕子氏らが紹介され、選手棋士たち全員が紹介されると、審判長をつとめる大竹英雄名誉碁聖の開始宣言。

大竹「多くのファンの方々にお越しいただき、この企画に感謝しております。プロの真剣勝負ですので、マナーよくご観戦ください。いいお勉強をなさって、いい一日となりますように。また選手の方々には、全員優勝されることを祈っております。(会場大爆笑)それでは、握ってください!」


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