Pair Go RICOH CUP 2008 〜リコー杯プロ棋士ペア碁選手権2008〜
大会レポート Tournament Report
< 1回戦、2回戦 >

囲碁界の夢の祭典―「リコー杯プロ棋士ペア碁選手権2008」がいよいよ開幕した。タイトルホルダー、賞金ランキング上位者などから選出されるトップ棋士男女32名・16組による本大会は、今年で第十四回。文字どおり囲碁界のオールスター戦だ。大会初日の十二月八日は、一、二回戦、準々決勝進出決定戦が、恵比寿ザ・ガーデンホールにて行われ、会場には千五百人を越えるファンがつめかけた。



今年は天気にも恵まれ、開場30分前にはすでに50名以上のファンが列をつくっていた。ファン層は年配の方から、子供まで幅広い。お目当ての棋士にサインをもらおうと色紙を抱えるファンも大勢いる。


さて、大会開始一時間前。一番乗りで控室に到着したのは、前々日にタイトル防衛を決めたばかりの河野臨天元。その後到着した棋士たちに、次々と「おめでとうございます!」と声をかけられて、穏やかな笑顔で応じていた。


前年優勝の岡田結美子六段は真っ赤なドレスで登場。「せっかく、昨年優勝したので、少し目立ってみようかな、と思って」と、今年は服にも特別な気合が入っている。
岡田六段としばらく歓談していた梅沢由香里女流棋聖は「ええ!一回戦、結美ちゃんと打つの!?知らなかった!」と慌てた様子。控室では、少しずつ火花が散り始めた。
初出場の黄翊祖七段は、なんとなくいつもと様子が違う。待ち受けた棋士たちは、一瞬「あれ?」と目を疑い、それから一斉に「どうしたの、その髪型!」と声をかけた。黄七段は、この日のために(?)縮毛矯正してきたのだ。こちらも気合満々だ。小林覚九段は「僕は他の棋戦で全部負けちゃったから、もうこの大会しかないんだよね」と本気モード。隣で、王立誠九段が「決勝までいったことある? 僕は一回ある」と少し威張っていたのが微笑ましかった。


一回戦の組み合わせ表を見ながら「面白〜い。どのペアも強そう!」と他人事のようにはしゃいでいたのは、青木喜久代八段。さらに、地にからい棋風の小林泉美六段と、世界一厚い棋風だといわれる今村俊也九段のペアを指して「わ〜、どんな碁になるんだろう。見てみたい!」

昨年は大盤解説会場で聞き手を担当した佃亜紀子五段は、今年は選手として参加。ペアの小林覚九段に「よろしくお願いします」とあいさつに行くと、小林九段は「一応、優勝を狙いましょう。お互いに、どんな手を打っても感動し合って、支え合っていきましょう」。
この会話を皮切りに、各所で作戦タイムが始まった。


昨年優勝の岡田結美子六段・山田規三生九段ペアは「一勝一敗でいき、9路盤を打ちましょう。優勝のためには一回ぐらい負けておかないと(笑)自信あります」(山田)、「頼もしいです」(岡田)と連覇に向けて意気揚々だ。


初出場の奥田あや二段、向井千瑛二段は緊張気味。それぞれ高尾紳路本因坊、王立誠九段が優しく声をかけて、緊張をほどくシーンも見られた。


関西棋院同士の小西和子八段・坂井秀至七段ペアは「練習する時間も特にとれなくて」(坂井)と話しながらも余裕の表情。「好きなように打っていいと言われました」(小西)と、気心が知れたペアに安心しきった様子だった。



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