Pair Go RICOH CUP 2008 〜リコー杯プロ棋士ペア碁選手権2008〜
大会レポート Tournament Report
< 決勝戦 >

トップ棋士男女16組32名による、囲碁界の夢の祭典――リコー杯プロ棋士ペア碁選手権2008がいよいよクライマックスを迎えた。決勝の舞台に勝ち上がったのは、大沢奈留美三段・趙治勲十段ペア対、謝依旻女流本因坊・河野臨天元ペア。絶好調棋士による好カードに、会場にはリコー杯過去最高の1300名を超える囲碁ファンがつめかけた。果たして、ファンの期待どおりの稀にみる華々しい戦いに、会場は興奮一色。2月2日、恵比寿ザ・ガーデンホールで行われた決勝戦の一日をお伝えしていこう。

開場時間を前に、会場前には、寒い中にもかかわらず長蛇の列。その数はなんと200人を越えた。ファンの熱気に圧されて、予定時刻より20分前に開場。その後もファンが続々と集まり、広〜い大盤解説会場が次々と埋まっていった。今年は、公開対局会場が、大盤解説会場とは離れた場所にセッティングされたのだが、対局会場に用意された椅子もあっという間に満席状態となった。


さて、4名の選手のうち、最初に姿を見せたのは河野臨天元。今期全対局の棋譜が並ぶコーナーに足を運ぶと、2枚選んで控室に戻ってきた。机の上に並べられた2枚は、対戦相手・大沢・趙ペアの準決勝の譜と準々決勝の譜。一人静かにじっと棋譜を見つめて、相手ペアの研究に入った。

続いて、謝依旻女流本因坊と大沢奈留美三段が揃って登場。二人は歳は離れているのだが、大の仲良し。謝女流本因坊は「お姉さんのようです」と大沢三段を慕っている。「待ち合わせをしてきたのですか?」と尋ねると…「たまたま会ったんです。私たち、よく会うんです」と声をそろえる。
大沢「新宿歩いていてバッタリ会ったこともありますし…」
謝「韓国でもバッタリ会ったこともあります」

そして、趙治勲十段が現れた。
趙十段は、前々日に棋聖戦七番勝負の第2局を打ち終えたばかり。中一日のハードスケジュールだ。
「お疲れでは?」と声をかけられると、
「いやいや。私はここに全てをかけていますから」と応じて、周囲の心配をいっぺんに吹き飛ばした。

選手4名が揃うと、それぞれ作戦会議が始まった。
謝・河野ペアは、さきほどの相手ペアの過去2戦の棋譜を指で指しながらざっくり検討。(盤に並べずにイメージできてしまうところはプロならでは!)その後、河野天元が最近打った実戦を盤に並べながら「次、どこに打つ?」と尋ねたり解説したりしながらの布石の研究が始まった。

一方、大沢・趙ペアは、パソコンの前に陣取り、画面上で棋譜並べ。並べていたのは、やはり、対戦相手の謝・河野ペアの準決勝譜だった。ちなみに、この準決勝譜(対戦相手は小林泉美六段・今村俊也九段ペア)は大フリカワリの碁でお互いに100目以上の地ができるタイヘンな内容だった。


「この碁、今朝見てきたんですけど、すごい碁ですよねえ」と大沢三段。これに趙十段が「見てきたの?勉強してきたの?心強いなあ!」と応じていた。大フリカワリの場面になると、趙十段も「すごい碁だなあ!」と大声。
ところが、この後の決勝戦は、もっともっと「すごい碁」になるのだが・・・・・・


刻一刻と対局の時間が近づいてきた。決意を尋ねると…
大沢「(相手ペアは)息がピッタリで、強いですね…」
趙「勝つ自信はもちろんありますが、そのとおりになるかどうか。ままならないことも多いですから」
とケムに巻いた発言。「『息がピッタリ合ってる』と、評価されていましたが?」と謝・河野ペアに振ると…

謝「え!?私たちがですか!?」
河野「まー、そうでしょうね」
謝「(河野の余裕発言を聞いて)え…そうでしょうね。ピッタリ合っています」二人で笑い合った後、「あちらも、妙に息が合っていたんですよねぇ」と河野天元。「息が合っている」ことでは、お互いに認め合っているということ。ますます熱戦に期待がふくらむところだ。
ところで、両ペアは二回戦でも対戦しており、そのときは大沢・趙ペアが勝っている。もう一度控室をのぞいてみると…
「作戦はどうしましょう?」と尋ねる大沢三段に、趙十段は「普通に打てば楽勝なんじゃない」と自信たっぷり。
河野天元は「ペア戦は、局数をこなすことが大切。二回戦で負けたおかげで、一局よけいに打ちましたから、その分、私たちが有利でしょう」
互いに頼もしい言葉を残して、4名はいよいよ決戦の場へと向かった。



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