続いては、今大会の特別企画、第20回記念スペシャル対局が始まった。
スペシャル対局のカードは、謝依旻女流本因坊・女流名人と羽根直樹本因坊ペア対、石井茜初段と山田規三生九段ペア。名づけて「本因坊ペア」と「なにわペア」の対局となる。
別室では大盤解説が行われ、解説は二十四世本因坊秀芳、聞き手は小川誠子六段。またまた別室では、マイケル・レドモンド九段の英語による大盤解説も行われた。
ちなみに、英語大盤解説会場は、客席いっぱいに民族衣裳の選手たちだ。
「本因坊ペア」と「なにわペア」の対局は…
序盤早々に右上隅で新型が生まれ、黒番の「本因坊ペア」が「やや失敗しました」と二十四世本因坊秀芳。「でも、見ごたえのある攻防です」
続く下辺の攻防も、互いに譲らす、「面白いですねえ」と二十四世本因坊秀芳も興奮気味。
しかし、下辺が一段落した時点では、はっきりと白番の「なにわペア」が優勢に立ったようだ。二十四世本因坊秀芳曰く「黒は弱い石が三つ。白は、どうやってカラミ攻めにするか、舌なめずりしているところでしょう。普通に考えると、三つとも助かるとは思いにくい。本因坊ペアの謝さんは攻めが得意ですが、シノギも得意か見所ですね」
ところが、ここから「本因坊ペア」がじわじわと本領を発揮する。まず、上辺は死んだフリをして左辺を生きにいく。続いて、上辺も生きてしまうと、三つ目の弱い石をしのぐ間に、逆に白石を仕留めてしまったのだ。
「黒は順番に生きていきましたね」と小川六段が感心しながら振り返る。
「黒の居直りの勝利ですね」と二十四世本因坊秀芳。
白が投了して、スペシャル対局は、本因坊ペアに軍配が上がった。
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