「20周年記念ペア碁大賞」エッセイ【ペア碁の思い出】

「20周年記念ペア碁大賞」エッセイ発表

服部能子 (日本)

国際アマチュア・ペア碁選手権大会20周年おめでとうございます。私達夫婦もちょうど結婚20年になります。囲碁が縁でむすばれた新婚ほやほやの私達はペアを組み、近畿地区予選に出場しました。夫は大学囲碁部で活躍していた強豪なのですが、私は級位者。対局中、私が大きなミスをして、夫もそのミスをカバー仕切れず負けてしまいました。その時の夫の横顔、悔しさをじっとこらえる眼差し、私は申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

そんな私なのですが、夫は秋が来るたび毎年、私をペア碁のパートナーとして選んでくれました。気がつくと ペア碁を打つとき夫は、私がいつも打っている布石を打ってくれていました。私が打ちやすいように私に合わせて打ってくれていたのです。私も私なりに夫の打つ手の意味を必死で考えるように心がけました。

それから十数年が過ぎ、私も有段者の末席に加わった頃、ペア碁は私たち夫婦の秋のお楽しみ行事となっていました。その年もいつものようにペア碁ならではの華やかな気分のなか対局が始まりました。一局目、二局目と勝ち、三局目、また私が大きなミスをして、頭が真っ白になってしまいました。そんな時、横に座っている夫のほうから、どっしりと落ち着いている気持ちは伝わってきて、夫の打ち下ろすパチッっという石音が「大丈夫。」に聞こえました。窮地を切り抜けた私たちペアは何とか勝つことが出来、四局目も勝てて、驚くことに優勝してしまいました。おまけに抽選で海外旅行に当選してしまいました。

表彰式で壇上に座っているとき、「パ-トナ-の気持ちを察して相手を思いやる気持ちを持つ」 ことはペア碁で学んだことだとしみじみ思いました。私たち夫婦の歴史はペア碁と共に有るように思います。これからもペア碁を楽しみ、人生という一局の碁を二人で打ち続けていきたいと思います。

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