「ペア碁」の創案  滝 久雄

滝久雄

滝 久雄

ペア碁創案者
文化功労者
(公財)日本ペア碁協会 名誉会長・評議員
世界ペア碁協会 名誉会長
 
東京科学大学 名誉博士
(公財)日本ペア碁協会「ペア碁をオリンピックの正式競技にする会」代表幹事(統括)
(株)ぐるなび 取締役会長・創業者
(株)NKB 取締役会長・創業者
全日本学生囲碁連盟 会長

 わが国には古くから囲碁の楽しみ方として、碁盤を二つ並べて複数の人が交代で打つ「連碁」がありました。その連碁を女性たちも気軽に楽しむ様子を見たときに、この雰囲気を囲碁の普及・拡大のエネルギーとして活かせるのではないだろうかと思ったことが、私が「ペア碁」を創案することの始まりでした。

 連碁には勝負を気にせずに複数の人が参加できるエキシビションゲームとしての楽しさがあります。この複数で打つという楽しみに勝負を競うという面白さを加えられないだろうか。そう考えたときに、連碁にはウィークポイントがあることに気づきました。それは、隣の人が打った手を目の前の碁盤に自分も並べるという作業を必要とすることです。ゲーム中に左脳を使うことになり、勝負事としての意味合いが減じてしまいます。

 その左脳の作業を無くせないだろうかと考えた末に生まれた構想が、一つの碁盤を使って二人対二人で対局するペア碁でした。これなら、勝負脳ともいえる右脳だけでゲームが進行できます。しかも、ペアで合計四人が打つので戦局の変化も大きくなり、パートナーの考えまで読まなくてはならないという面白さもあります。

 こうして私は、ルールを定め、男女のペア同士が対局する「ペア碁」を新しいゲームとして1990年に発表しました。今後も一層多くの人たちに親しまれることを、私はゲームの生みの親として強く願っています。

「ペア碁」を世界へ  滝 裕子

滝裕子

滝 裕子

(公財)日本ペア碁協会 筆頭副理事長
世界ペア碁協会 副会長
 
(公財)日本ペア碁協会「ペア碁をオリンピックの正式競技にする会」代表幹事(海外担当)
(一社)全日本囲碁連合 会長
国際囲碁連盟 理事

 日本生まれのペアゲームとして「ペア碁」が誕生し、1990年に最初の大会「第1回 国際囲碁アマチュア・ペアトーナメント大会(NKB杯)」が開催されたときから、日本そして海外でのペア碁の普及に取り組んできました。

 これまでに、公益財団法人日本ペア碁協会、世界ペア碁協会の設立、2010年「第16回アジア競技大会」での正式種目への採用、「ペア碁ワールドカップ」の開催などもあり、ペア碁ファンの裾野は大きく広がり、現在では世界78カ国・地域(2025年8月時点)で楽しまれるようになっています。

 ペア碁は、パートナーの棋風をよく理解し、対局中はパートナーが打った手を尊重して最大限に活かすというように、パートナーを思いやることを大切にするゲームです。しかも、囲碁は言語を使わずにコミュニケーションができ、ペア碁はペアを組む二人の実力を考慮することによって対等な対局が楽しめます。それらの長所から、ペア碁はグローバル社会で言葉も国境も越えてよき交流を生み、国際平和の実現にも大いに貢献できます。

 そのようなペア碁の魅力を伝え、今後も世界の各国でより多くの人に親しまれるマインドスポーツとして育っていくように取り組んでいきたいと思っています。


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