プロ棋士ペア碁選手権2023

プロ棋士ペア碁選手権2023

トッププロ棋士×伊藤園  スペシャル対談

日本の囲碁界を代表する男女プロ棋士16組32名がトーナメント戦を戦う「プロ棋士ペア碁選手権2023」が今年も2月11日、12日に東京・恵比寿で開催された。出場棋士の藤沢里菜女流本因坊、上野愛咲美女流名人・女流立葵杯と、本大会を応援する「伊藤園」のマーケティング本部 緑茶ブランドグループ ブランドマネジャー 安田哲也さんのスペシャル鼎談がこのほど実現。選手権を振り返りながら、ペア碁の魅力や普段のリラックス方法まで幅広く語り合った。(2023年3月23日収録)

日本の男女トップ棋士が一堂に会する
豪華で楽しい「プロ棋士ペア碁選手権」

伊藤園 マーケティング本部 緑茶ブランドグループ ブランドマネジャー 安田哲也さん
藤沢里菜女流本因坊と上野愛咲美女流名人・女流立葵杯

安田さん(以降敬称略):まずは「プロ棋士ペア碁選手権2023」のご出場、お疲れさまでございました。
 本大会は、タイトル保持者や賞金ランキング上位者のみが出場できる名実ともに日本の男女トップ棋士が集まる非常に豪華な戦いとしても注目されていますよね。私も会場で観戦させていただきましたが、緊張感がありながらもどこかほがらかな空気が流れていたように感じます。

藤沢女流本因坊(以降敬称略):そうですね。いわゆるタイトル戦とは少し違った雰囲気で、どこか楽しい空気感に包まれていますよね。
 私は囲碁を始めたのが6歳なんですが、その直後からアマチュアのペア碁大会に出場するなどペア碁に触れていたので、小さい頃から本当に毎年楽しみにしている大会ですね。参加できるようになって、さらに楽しみになりました。

上野女流名人・女流立葵杯(以降敬称略):私もプロになった直後からずっと出たいと目標にしていた大好きな大会です。研究会が終わった後とかに、棋士控え室で関くん(関航太郎天元)や大西くん(大西竜平七段)と一緒にペア碁の練習をよくしていました。
 ファンの方々と交流できることや、すごい先生方とお会いできるのもすごい楽しみで、今年は井山先生(井山裕太本因坊・王座・碁聖)と写真を撮ってもらっちゃいました。

安田:確かに、お客様との距離がかなり近いなと感じました。もちろん真剣勝負の場ではありますが、どこかお祭りのような雰囲気もあるんですね。

上野:ありますね。私は相方を決める抽選発表から、すごい楽しみにしています。

藤沢:相方(笑)。

上野:相方じゃない、ペアですね(笑)。失礼しました。ペア碁の組み合わせは抽選で決まるので、誰と誰がペアになるかもドキドキなんです。里菜先生と一緒に見ることも多いんですけど、「あ、里菜先生、あの先生とだ!」とか「あ、このペア強そう!」とか、そんな感じで抽選発表から楽しんでいます。

安田:上野先生は今回、許家元十段とペアになりましたが、いかがでしたか?

上野:まず抽選が発表されたときに「あ、これは優勝かな」と思いました(笑)。

一同:お~!

本戦1回戦での上野・許ペア

上野:うふふ(笑)。私自身、いつも優勝するつもりで臨んでいるんですけれど、まだ1回戦しか勝ったことがなかったので「今回はついに優勝できる」と思いました。ペア碁って、一緒に打てば打つほど息がどんどん合ってくるような気がしていて、許先生とは組ませていただくのが2回目だったので、今回は行けるなと(笑)。
 ただ、初戦の相手が辻さん(辻華二段)と河野先生(河野臨九段)のペアで、惜しくも負けてしまいました。私たちも息はぴったりだったと思いますが、相手が素晴らしすぎました。あまりにも息がぴったりで、すごい強かった。打った直後は、お二人が優勝するかなと思いました。

藤沢:私たちも2回戦で、辻さんと河野先生ペアに負けちゃいました。お二人、すごい息があっていて、本当に強かったですね。

安田:そうですね、辻先生と河野先生のペアは決勝まで行かれましたね。藤沢先生は安斎伸彰八段とペアを組まれましたが、いかがでしたか?

藤沢:初めて組ませていただいたんですけど、安斎先生の棋風はゴリゴリの力碁で、私とは真逆のタイプ。抽選を見たときに「大丈夫かな」と正直ちょっとだけ思ってしまいました(笑)。棋風が違うのでどうなるのかなと思いましたが、対局してみたら案外息があって、やりやすかったですね。
 一局目から安斎先生がどんどん攻めきっていくので、それに乗って私も頑張って攻めてみたりして。「こういう手もあるのか」と自分の発想にない手で打たれるので、本当にすごく勉強になりました。負けてはしまいましたが、安斎先生にはずっと優しくしていただいて、とても楽しかったですね。

本戦1回戦での藤沢・安斎ペア

上野:対局後にお互いの打った着手を見直す“検討”をするんですが、正直、私の手がまずかったのですけれど、許先生はまるでこちらを責めずに「僕がもうちょっとこうすれば良かったね」と言ってくださって、本当に優しい先生だなと思いました。

安田:囲碁棋士は、みなさん優しいということでよろしいでしょうか。

上野・藤沢:ふふふ(笑)。

藤沢:はい、実際、優しい方ばかりだと思います。

個性がぶつかり合う濃い時間
想像以上の発見がある「ペア碁」の世界

安田:併催イベントの「シャッフルペア碁」についてもお話を聞かせてください。

藤沢:1・2回戦で敗れた出場ペアが新たに抽選で組み直したペアで対局するイベントで、本当に直前の前日にペアが決まるんです。シャッフルペア碁は、本戦よりも緊張感も少し和らいで、よりリラックスして楽しめるイメージがあるので「ペアは誰かな」とワクワクしていたんですが、私は今回まさかの井山先生とペアになりまして。
 井山先生とは昨年、日中ペア碁親善ドリームマッチで組ませていただいたのですが、その時の反省しきりな記憶が新しかったので、抽選が発表された瞬間にこれは本番よりも緊張しそうだなと(笑)。
 実際、やっぱりすごく緊張しました。「ちゃんとした碁を打たないと!」と、気を引き締めて対局に臨みましたね。

上野:わかる。ペア碁は普段よりもしっかり考えなくちゃって思うよね。

藤沢:そうそうそう(笑)。

上野:私は、ペア碁のときはいつもペアの先生と服装を合わせることを楽しんでいるんですけれど、シャッフルペア碁は前日に決まるのでペアになった孫先生(孫喆七段)に、抽選発表後にお電話したんです。そうしたら、孫先生がまさかのすでにお酒を飲まれていて。

藤沢:すごいリラックスされてる!(笑)

上野:そうなの。驚きました(笑)。会話はちゃんとできたので、服装を合わせることができたんですけれど、そういう楽しい空気感も好きです。

安田:ペア碁では、ペアが並んで打つのに対局中の会話が禁止ということにも驚きました。全く違う個性の中、相談や会話をなしに戦っていくのは、素人ながらにすごいと思いました。対局前にペアの先生と作戦会議のようなものはされているんですか?

藤沢:ペアのお相手によると思いますね。今回のシャッフルペア碁で言えば、私は井山先生に緊張して話しかけられませんでした(笑)。もう、そのままGOという感じでしたね。

シャッフルペア碁対局1回戦 上野・孫ペア 対 藤沢・井山ペア

上野:私はわりと作戦会議をしたいタイプですね。今回シャッフルペア碁の1回戦は、事前の相談なしで頑張ったんですが、里菜先生と井山先生のペアに負けちゃいました。だから、次は作戦をきちんと考えようとお昼に作戦会議しましたが、序盤から息が合わずに2回戦も終わってしまいました。負けて悔しさはもちろんありますが、毎年ペア碁は楽しい思い出しか残らないのもいいところだと思います。

安田:普段の対局や研究と違って、ペア碁だからこそ学べることもあるんでしょうか?

藤沢:そうですね。自分以外に3人もいるので、考えが合っている場合も、全然違う時も、非常に濃い時間が流れているなと感じます。盤面を見て予想していた手と全く違う方向に石が来たり、予想外の考えの手で進んだりするので、本番ならではの緊張感ある中でどんどん吸収できるという感覚でしょうか。

上野:一人一人が全然違うことを考えているんだなというのがすごいわかるよね。ペアが自分と同じような棋風の人だともちろん楽しいんですけど、やっぱり全然違うタイプの人の場合、例えば羽根先生(羽根直樹九段)とかと打つと「わ~、そういう手がいいんだ」みたいな発見があって、すごく視野が広がると思います。

第一線で活躍し続けるために
先読み力と最善の一手を磨く

安田:囲碁棋士の方は、集中する時とリラックスするときの振り幅がとても大きいのではないかと思います。このへんでひと息、お茶はいかがでしょうか。普段、緑茶は飲まれますか?

藤沢・上野:はい、飲みます。

藤沢:小さいときから緑茶を毎日飲んでいるので大好きです。

上野:伊藤園さんの前だから言うわけじゃないんですけれど、「お~いお茶」のペットボトルをダンボールで購入していて、本当に毎日飲んでいます。
 伊藤園さんの「リラックスジャスミンティー」もすごく好きで、対局の日は「お~いお茶」、研究会の日は「リラックスジャスミンティー」と決めています。

安田:お茶屋にとって嬉しいお言葉をありがとうございます。冷たいお茶をご用意しましたので、ぜひお飲みください。

上野:ちょうどお茶飲みたかったので嬉しいです。いただきます。

藤沢:わ~、このお茶おいしいです。

安田:ありがとうございます。今お飲みいただいたのは「氷水出し茶」と言いまして、急須を使って淹れるんですけれど、水と氷で誰でも簡単においしく淹れられるお茶なんです。

上野:え~、誰でもですか!

安田:はい。多分そんなに渋味がないと思うんですが、いかがでしょう。

藤沢:はい。すごく飲みやすくておいしいです。

安田:一般的に、お茶はお湯の温度が高いほど、渋味や苦味が出てくるものなんです。ポットのお湯は大体90℃ぐらいなので、一度湯呑みに注いだお湯を急須に戻すなどして、60℃くらいに冷ましてから淹れていただくのがお茶をおいしく淹れるコツなのですが、それが案外難しい。
 「氷水出し茶」の場合は、急須に茶葉をいつもの1.5倍程度いれ、氷と水を注いで3分待つだけなので、本当に誰でも飲みやすくておいしく淹れられます。とくにこれからの季節、夏場におすすめなのでぜひ試してみてください。

上野:私、本当に最近、急須を買ったのでやってみます。鉄瓶の急須でもできますか?

安田:おぉ、それは素晴らしい。鉄瓶の急須で淹れると、よりまろやかな味わいのお茶になりますよ。水や温度の違いだけでなく、容器や淹れ方の違いでも、お茶の味わいはかなり変わります。
 「お~いお茶」も一番小さな容量の190グラム缶から2リットルペットボトルまでさまざまなサイズを展開していますが、実はすべて中身が違います。

上野:え!?違うんですか?

安田:はい。容器やサイズによって、飲むシーンを想定した濃さや味わいに仕上げているので、原料の茶葉から変えています。
 例えば、飲みきりサイズの「お~いお茶190g缶」は、短時間で飲みきる方が多い容器容量なので、少量でも満足いただけるやや濃いめの味に設計しています。逆に2リットルペットボトルは、時間をかけて飲まれる方が多いので、どちらかというとすっきりした味わいに仕上げ、時間が経っても味の変化が少ないようにボトルにもさまざまな工夫を施しています。

上野:え~!

藤沢:知らなかったです。

上野:確かに何か味が違うなと思ったことがありました。あれは違う容器の「お~いお茶」を飲んでいたのかも。

藤沢:お~、すごい!

上野:作る年によって味変もされているんですか?

安田:毎年少しずつ変えています。その年の変化に合わせて、例えば渋味を強めたり、旨味成分を強めたりという微調整を行っています。「お~いお茶」は1989年2月1日に発売スタートしてから34年経ちますが、発売当初とはまったく違う味の設計になっています。
 ただ、ここ数年のものを飲み比べてもほとんど気が付かないと思います。飲んでいただいている方がたくさんいらっしゃるので、違和感のないように大きくは変えていないからです。
 せっかくなので、190g缶と600mlペットボトルを飲み比べてみてください。

上野:あ、本当だ。こっち(190g缶)は少し渋いですね。

藤沢:飲み比べてみるとけっこう違いますね。

安田:よろしければ、さっきの冷たいお茶と同じ茶葉で淹れた温かいお茶もどうぞ。氷水出しよりも少し渋味があるかもしれません。

藤沢:おいしいです。ほっとします。対局中も途中で温かいお茶を出していただくことがあって、ひと息つくときに飲んでいます。
 囲碁は対局時間が長いので、ずっと集中していると疲れきってしまうので、そういった「休む時間」をとても大切にしています。ひと息ついて「さあ、また集中するぞ」という感じになりますね。

安田:対局中に飲むものは自分で選べるのですか?

上野:はい。私は、対局の日は絶対「お~いお茶」の600mlペットボトルを横に置いています。対局中も俳句を見たりしちゃいます。

藤沢:あ~、あるある(笑)。私も対局中はいつも「お~いお茶」だからつい見ちゃう。

上野:まさかの里菜先生もだった(笑)。夏場の暑い日は、凍っている「お~いお茶」を対局中手に持って、冷たいお茶ですっきりして、眠くなりたくないときにもよく飲みます。

安田:「お~いお茶」は、クリエイティブサポート飲料としてもおすすめなんです。海外でも愛されているのですが、現地の調査で43.6%の方が「仕事の効率が高まる」と実感していることがわかりました。

上野:本当ぴったりだと思っています。私は、対局中に何を飲むのがいいのかちょっと自分で調べてみて、意識的に「お~いお茶」を飲むようになりました。対局で中国に行くことも多いのですが、そのときにも「お~いお茶」がないと不安で必ず持参しています。ほかに、対局中におすすめのお茶はありますか?

安田:キレのある渋みがおいしい「お~いお茶 濃い茶」はいかがでしょう。テアニン・茶カテキン成分が「お~いお茶 緑茶」よりも多いので、頭をシャキッとしたい場合におすすめです。先ほど、藤沢先生がペア碁は盤面が濃い戦いだとおっしゃっていましたので、ぜひお茶も「お~いお茶 濃い茶」を試してみていただければ。

藤沢:濃い同士ですね。ふふふ(笑)。

上野:なるほど、いいかもしれない(笑)。

安田:当たり前と言われてしまうかもしれませんが、「お~いお茶」のおいしさの原点は茶畑にあると考えています。
 以前は茶葉を茶市場で買い付けていたんですが、茶葉一枚一枚から美味しさができるので、そこから丁寧に作ろうということで取り組み始め、現在は畑からお茶殻まですべて自社で管理しています。
 お茶農家さんからすべてを買い取る『契約栽培』や、遊休農地・耕作放棄地などと呼ばれる使わなくなった農地にゼロから茶の木を植える『新産地事業』を通して摘んだ茶葉を使用しています。

藤沢:「お~いお茶」の製造は、畑づくりから始まっているんですね。さっきポスターの前で写真を撮らせてもらったのですが、CMやポスターの茶畑もそうですか? 有村架純さんがかわいすぎて、あのCMを本当に繰り返し何百回も見ていて、「お~いお茶」って毎回一緒に言っちゃいます。あのCM、大好きです。

安田:はい。あのCMの撮影をした茶畑も耕作放棄地から転換して作った茶畑なんですよ。今、農家さんの全国平均年齢が65~68歳とも言われていますが、新産地事業に携わる方の平均年齢は約45歳。未来を見据えて、若返りも意識しながら取り組んでいます。

上野:「お~いお茶」がなくなると私は本当に困ってしまうので、それを聞いて安心しました。

藤沢:飲むシーンを考えて味を変えたり、未来のことを考えて畑づくりに取り組んだり。
 囲碁では先を読む力がとても大切ですが、伊藤園さんも同じように先を読みながら、さまざまな取り組みをされていらっしゃるんですね。

上野:囲碁でも一手が勝負を左右するように、茶葉一枚一枚を大切にされていることを知って、やっぱりこれからも「お~いお茶」を飲み続けたいと思いました。

藤沢:ね。今日改めてお茶を飲むということを考えてみて、お湯を沸かして茶葉を急須に入れてお茶を淹れるという、その所作や時間も含めて、すごくリラックスできる癒しの時間になる気がしました。私もやってみたいと思います。

上野:うん、私も。せっかく急須を買ったし。

安田:ぜひ、趣味は「お茶を淹れること」ですと言ってください。

上野:わ~、それ、すごい「できる人」っぽい。ぜひ言いたいですね。

安田:お茶は茶道、囲碁は棋道というように、日本の伝統の道を極めるという意味でも共通しているかと思います。

藤沢:精神統一が必要という意味でも同じですね。お茶も囲碁も楽しみながら、ずっと続けていけたらと思いますね。

プロ棋士ペア碁選手権2023トップページへ