ペア碁®を育成する意義
囲碁とは、そもそも個人対個人の2人のゲームだと考えられています。従って、男女がペアになって交互に一局を打つというペア碁のような戦い方は、勝敗の場を離れた息抜き的存在でした。ところが、実際ペアを組んで戦ってみると、これがなかなか面白いゲームであることが、お判りいただけると思います。
第1に、個人対個人のゲームとは違った戦略が必要となってきます。相手の手を読むばかりではなく自分とペアを組んだ味方の打つ石の意味をも読んでいかねばなりません。そして、その一手一手をいかに有効に働かせるか、それが戦いの決め手になるのは個人戦と変わりはありません。しかし、一局終わるまでには必ずといっていいほど、ペアを組んだ相手の打つ意表をついた手に戸惑ったり、感心してみたり、個人プレーでは考えられぬペア碁の面白さを発見すると思います。一人対一人で行うゲームが、二人対二人で行うゲームになった時、新しい要素が加わって、戦略の立て方に新しいテーマが生まれてきます。その意味で、私達はペア碁が碁の新しい魅力を開拓し、新しい囲碁へのアプローチになるものと信じています。
第2には、これからはいろいろな分野でますます国際化が進んでいくと思われます。このペア碁を国際的な規模に育て上げることで、今までの囲碁の雰囲気に華やかさが加わり、また囲碁の普及に加速度がつき、国際親善の役割を果たすことになるだろうと思います。
第3には、これは私達のもっとも目標とするところですが、男女ペア碁というものが、囲碁愛好家の中に定着すれば、女性の囲碁人口の増加に繋がると思います。碁を打たない多くの女性から見れば、碁とはネクラなゲーム、老人のゲーム、あるいはとっつきにくい難解なゲームなどと思われがちでした。しかし、男女ペア碁が普及すれば、自ずと女性の囲碁愛好家も増え、“スポーツ”としてのゴルフに対して“知的スポーツ”としてトレンディーな受け入れられ方も可能だと思います。と同時に囲碁が女性層に身近なものになり、今より一層ポピュラーなゲームになる近道ではないでしょうか。
第4に、ペア碁が盛んになると、父娘ペア、母息子ペア、夫婦ペア、子弟ペア、兄妹ペア、姉弟ペア、友達ペアと、いろいろなペアが作られることになりコミュニケーションが活発になって囲碁が家族的なものになってくるでしょう。
以上のような事から、私達は是非ペア碁を囲碁の新しい枝として育て、それに伴うさまざまな可能性を求めて行きたいと願っています。
何卒、ペア碁を育成する意義に御賛同いただきたく、よろしくお願い申し上げます。