リコー杯プロ棋士ペア囲碁選手権
report

■リコー杯2000 準々決勝・準決勝戦

● 加藤朋子四段・柳時熏七段VS吉田美香六段・東野弘昭九段 ●
序盤からコウのフリカワリがあり、息もつかせぬ大激戦となった。いろんな石が取られそうになったり、ホントに取られたり。見ていてスリリングな1局だった。

加藤(朋)・柳ペア
柳七段
「投了しようと思って打った勝負手が通ったのに、まだ、盤面でも負けているのか。まぁ、しょうがないか」
吉田六段
「ヒドイことをしてしまって、投げようと思って東野先生の顔を見たら、何ともなさそうにしておられるから、おかしいなと思って計算したら、まだ良かった。私1人で打っていたら、絶対投げていた」

吉田・東野ペア

● 知念かおり女流本因坊・林海峰九段ペアVS
小林泉美女流棋聖・小林光一十段・天元・碁聖 ●
2年連続ペア同士の対戦は、序盤からずっと小競り合いが続き、小さな振り幅で一進一退。そんな中、泉美女流棋聖の強手からペースをつかんだ親子ペアだったが、今度は女流棋聖のブレーキがきかなくなって、一転、大石がピンチに。シノぐ手はあったのだが、地合との相談もあって欲張ったイキを目指した結果、あえなく憤死。局後の検討は熱心に行われ、特にパートナー同士の会話が多かった。

知念・林ペア

小林親子ペア
小林十段
「最初大変かと思っていた碁を持ち直して、これは行けると思ったんだけどね。泉美もよく頑張ってたし。残念だけど仕方ないね」

● 中澤彩子四段・彦坂直人九段VS穂坂繭二段・山田規三生七段 ●
追い込み型同士VS先行型同士の対戦。ほぼ予想された通りの展開となった。観戦にきていた穂坂ニ段の夫君・将棋の棋士の先崎学七段(碁はアマ四段くらいという評判)も、「ずいぶん追い込まれてているようだけど、相場なの?」と心配そう。細かそうな碁だったが、中央の地の受け方を間違えて手になってしまった。最後はキレイに投げ場を作り、「観戦者想い」という気がした。

中澤・彦坂ペア

穂坂・山田ペア
山田七段
「うちらは初日をクリアできるなんて思っていなかったから、ずっと気楽に打ってる。それがいいのかな」

● 梅沢由香里三段・片岡聡九段VS小林千寿五段・本田邦久九段ペア ●
黒の小ゲイマジマリが何の見返りもなく白地になってしまった。その後奮闘するも及ばず、2連覇中の本田九段はここで姿を消した。

梅沢・片岡ペア

小林(千)・本田ペア
梅沢三段「何度も片岡先生をクラクラさせてしまいました。先生、すいません」
片岡九段「びっしょり冷や汗かきました」

前週の2連勝ペアVS決定戦勝者ペアとなった準々決勝戦は、後者が全勝。負けられるうちに負けておいた方がいいということなのだろうか。ちょっと皮肉な結果が出た。

準決勝戦が始まるまで、30分程休憩タイム。控え室では、東野九段と片岡九段が、おいしそうにニコチン補給中。対局中は禁煙なので、局後の、しかも勝った後の一服は格別。
もうすぐ準決勝戦が始まる。次に吸う煙草の味は?

つづく