■リコー杯2000 決勝戦 |
決勝戦当日、IMPホール前で開場時間よりも大分前から熱心なファンが列を作っている。その脇をを申し訳なさそうに出演者やスタッフが入場して行く。 控え室は決勝戦を事前に控えているとは思えないほどの和やかムード。囲碁フェスティバルの楽屋にいるような雰囲気だ。吉田六段も「ペア碁の決勝は初めてだけど、他の決勝と比べて、リラックスできていいなぁ」と他人事のように話していた。地元テレビ局の取材にもリラックスムードで応じ、時折爆笑も起こった。この雰囲気は「勝った嬉しさは2倍、負けた悔しさは半分」のペア碁ならではのものだろう。 |
開演1時間前から行列 |
受付では全32名棋士名入り扇子が当たるクジが行われた |
超満員の観客席 |
ほどなく開演時間となった。瀧久雄日本ペア囲碁協会評議員・事務局長で本大会の実行副委員長と、今大会の審判長である呉清源九段の挨拶、対局者と解説者の紹介があり、いよいよ決勝対局の始まり。解説の武宮正樹九段はこの対局の見所を聞かれ、「見所はよくわからないけど、決勝だけにアツイものがある」と答え、聞き手の小川誠子六段は「控え室では明るかったけど、秘めたものを感じた。楽しみ」と話した。 |
司会:後藤美代子 アシスタント:井澤秋乃二段・(日本棋院関西総本部) |
ご挨拶:瀧久雄 日本ペア囲碁協会評議員・事務局長・本大会実行副委員長 |
ご挨拶:呉清源九段・本大会審判長 |
左から、瀧久雄日本ペア囲碁協会評議員・事務局長・本大会実行副委員長、呉清源九段・本大会審判長、湯浅寿生株式会社リコー理事・スポンサー代表、川村匡迪財団法人日本棋院常務理事 |
ご紹介 解説:武宮正樹九段 聞き手:小川誠子六段 |
対局ペア紹介 |
対局ペアに花束贈呈 滝裕子日本ペア囲碁協会理事 |
この対局の記録係の後藤奈穂子さんと秒読み係の多賀文吾さんは、昨秋行われた、第10回国際アマチュア・ペア囲碁選手権大会で優勝した、近畿ブロック代表のペア。ここにもなにやら縁めいたものを感じた。 大盤操作は関西棋院の古谷裕五段と藤井秀哉四段が担当した。 |
握って穂坂・山田ペアが先番 |
握って穂坂・山田ペアの先番。 武宮九段が「風変わりな碁」と評したように、あまり見馴れない布石で始まった。右辺で戦いが起こり、この戦いが全局に波及して終局するまで戦い続けるという、スリリングな展開となった。 |
吉田・東野ペア |
穂坂・山田ペア |
解説風景 大盤操作:古谷裕五段・藤井秀哉四段(関西棋院) |
この対局は途中、封じ手があり、この封じ手が正解者に抽選で賞品が当たる次の一手の問題として出されることになっている。封じ手のタイミングは碁の進行を見て、武宮九段の判断に任されていたのだが、戦いが激し過ぎて、なかなか切り出せない。結局、戦いの真最中の65手目が封じてとなった。武宮九段によると、ここは三択問題だそうだ。穂坂二段が封じて、休憩に入った。 |
会場 |
打ち掛け中の控え室もギスギスしていなかった。というより、ついさっき起こった「あること」を話題に盛り上がっていた。 「心臓が止まりそうだった」「どうしようかと思った」「汗が出てきた」「努めて平静を装った」などなど。その「あること」とはオフレコです。 |
つづく |