■リコー杯 準々決勝・準決勝 |
人気ペア次々敗退 |
1・2回戦が終わったとき、日本棋院ではだれが優勝するか話題になった。一番人気の高かったのは知念かおり・武宮正樹ペア、小林泉美・二十五世本因坊治勲ペアだったという。さて、優勝候補の本命、対抗に推された2組だが、これは観戦するファンを楽しませてくれた。 |
まず、1・2回戦で過激な闘いぶりを見せてくれた泉美・治勲ペア。相手は楠・依田ペア。 |
淀みなく進んだかにみえた序盤だったが、中盤、突如として肉弾戦になだれ込んだ。 |
|
||||
|
|
|
|
上辺黒39の肩ツキに対し、白40のハザマをつき返して乱戦の口火を切った。この2手は依田名人と二十五世本因坊治勲。両者気合がほとばしる。しかし、乱戦となれば「ここ一番」の力を見せてきた泉美・治勲ペアだ。白石と黒石が上辺に集中し、互いにダメが詰まっている。 |
そんな様子が映し出されるモニター画面にファンが群がったのは言うまでもない。 |
「これはツブレましたね。いやどちらか必ずツブレる形ですね」と解説会場で工藤九段。意外に難しい攻め合いになったが、どうやら泉美・治勲ペアに光が差し込んだようだ。攻め合いの結果はコウになるようだが、それだと白が有利ということらしい。ところが……。 |
|
|
二十五世本因坊治勲が突然投了した。泉美四段が打った白94、何かの錯覚だったか。これは(黒93の上に)逆からアタリをかける一手だったようだ。 |
「こっちから行けば勝ってたよね。気がつかなかった?」 |
やさしい笑顔で、やさしい声でそう言葉をかける二十五世本因坊治勲も、その言葉をじっとうつむいて聞く泉美四段も痛々しかった。 |
知念・武宮ペアの相手は小川誠子・石田芳夫ペア。白番の小川・石田ペアは中盤から地合で先行し、100手に差し掛かるころ、ついに勝負の局面を迎える。下辺から中央に顔を出している白の大石。まだ眼形がはっきりしない。黒としてはこの一団に襲いかかるしか打開策はない。迫力ある攻防は知念・武宮ペアの気迫がまさったか、大石の半分はもぎ取った。しかし、わずかに届かなかった。 |