■リコー杯 1・2回戦 |
泉美・治勲ペア豪快に発進 |
もっとも、どんな仕組みであっても、それが最大に効果を発揮するのは、対局内容によることだろう。そして実際の対局は、どれも目の離せない内容で、観戦するほうも目が回る。 |
ペア囲碁というと、それぞれパートナーが息を合わせる必要がある。しかし、7回目を迎えたリコー杯は、その域を越えつつあるのかもしれない。「生きるか死ぬかの大捕り物」ひと言で表すと、1・2回戦の特徴はこんなところだろうか。「息が合うのは当たり前。息が合ったうえで、どう芸を披露するか」 |
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会場全体を見渡すとひと目でわかる。大きな戦いになると、その対局コーナーに人だかりができる。それが1か所、2か所ではなく、あちこちにできていた。そのなかで、終始ファンの注目を集めていたのは小林泉美・25世本因坊治勲ペアの「過激」な打ちっぷりだった。 | ||
1回戦の相手は小西和子・小林覚ペア。小西六段は優勝経験もある実力者だ。小林覚九段は「小西さんにすべてお任せします」と絶大な信頼を寄せていたが、フタをあけてみると──。興味のあるかたはぜひ棋譜をご覧いただきたい。白番の泉美・治勲ペアは、白42(泉美四段の手)からギシギシ音を立てて戦いを挑み、まず左辺の黒の一団を「御用」。黒は最後まで翻弄されたまま押し切られた格好だ。 さらに2回戦。今度は1回戦の勝者同士の対戦。相手は青木喜久代・彦坂直人ペア。こちらも前評判の高かったペアだ。実はこの2人も1回戦、小川誠子・石田芳夫ペアを相手に迫力ある捕り物を演じている。お互いに30目以上の石を撲滅しあう激闘を制したペアだ。 |
この2組がぶつかるとあっては、ただで済むはずがない。中盤に入るやいなや、上辺から戦いの炎が巻き起こった。この対局コーナーだけはファンも棒立ちで進行を見守る。お互いにダメが詰まり、一歩間違えば奈落の底に落ちるような展開。これもぜひ棋譜をご鑑賞いただきたい。白番の青木・彦坂ペアは白78で中央の黒を制し、まずはひと安心かと思えば、左上黒81のハイコミから黒の反撃がはじまる。25世本因坊治勲が局後に感心した。「(泉美四段が打った黒93の)アテはうまい手だったね。気が付かなかったよ。あれ以外だと(取るのは)結構難しいんだよね」。それについては彦坂九段も同意する。泉美四段のハンマーパンチが炸裂して、左上の白を召し捕った。 |
リコー杯プロ棋士ペア囲碁選手権2001は12月2日、東京・江東区のTFTホールで幕を開けた。日本プロ碁界を代表する花形棋士の祭典は、小林泉美四段・25世本因坊治勲ペアや杉内寿子八段・加藤正夫九段ペアら話題のペアが2連勝で1・2回戦を突破するなど、16人8組が準々決勝に進出した。しかもこの日、700人を超えるファンも思わず生きを飲むような迫力満点の内容が目白押し。今回初めて試みられた会場設営の工夫もあって、プロのペア戦は名実ともに新境地を開拓しはじめたようだ。 |
さて、組み合わせ抽選会でこのペアが誕生したとき、「個性が強すぎて波乱含み」と予想されていたが、ファンのみなさんはどうご覧になるだろう。 |
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