時間ぎりぎり、会場に飛び込んできたのは山下敬吾七段。「駅からずっと走ってきたんですけれど…」と、息を切らす。司会者は、囲碁ファンで知られる鷹西美佳・日本テレビアナウンサー。
食事をとりながらの和やかな会が始まった。
初めに挨拶に立ったのは、吉國一郎日本ペア囲碁協会会長。
「32人のプロ棋士が一堂に会して、碁盤を囲む様子は圧巻。会場に訪れたファンは、各テーブルをぐるぐると回って楽しんでいます」と、本大会の魅力を囲碁ファンの立場から語った。
確かにトップ棋士が、同じ場所に32人も集まる大会は、他に例がなくファンにとってはたまらない光景だ。
浜田広(株)リコー代表取締役会長も、「同じ日、同じ場所にトップ棋士がこれだけ集まって真剣勝負をするのは過去にも、よそにも例を見ないこと」。と、その点を強調したうえで、「騒然とした世の中で、囲碁のような伝統文化が果たす役割は大きいはず。ペア碁を通じて囲碁の普及に貢献できたら嬉しい。特に若い人に、囲碁というゲームを知ってもらいたい」と、こちらも長年の囲碁ファンらしい挨拶だった。