リコー杯プロ棋士ペア囲碁選手権
report
■リコー杯 1・2回戦
12月8日、リコー杯プロ棋士ペア囲碁選手権2002が開幕、東京・港区青山のTEPIAホールにて一、ニ回戦が行われた。囲碁界の年末を飾る恒例行事、花形棋士が男女16名集まっての華やかな真剣勝負にファンも沸いた。大会の模様をお伝えしよう。

控え室での会話
控え室に次々と姿を現した選手たち。昼食を取りながら熱心に打ち合わせるペアも。中でも余念なく話し合っていたのは、前回の優勝者である楠・依田ペア。皆と少し離れたところで何やらずっとヒソヒソ話。一体、どんな作戦を立てていることやらと耳をすませたが、なかなか会話はもれてこない。
ようやく聞き取れたのは、「とにかく一局目を頑張りましょう。それに負けると二局目が消化試合になってしまいますから」という依田名人の一言だった。
依田名人の言葉を理解するために、ここで少し今年の規定についてご説明しよう。リコー杯は、毎年16組が出場。一、二回戦を行い、そこで勝ち上がった8組が次回の準々決勝戦へと進む仕組みだ。二回戦を終えた時点で二連勝のペアが4組、ニ連敗の組が4組、そして一勝一敗のペアが8組出ることになる。この一勝一敗組のうち、四組だけが二連勝組とともに準々決勝戦へと進むのだが、その四組をどうやって選ぶかが問題。以前は、一勝一敗組だけで更にもう一局打って決めていたのだが、それでは一日三局打つことになってしまい棋士への負担も重く、また時間もかかってしまうことから運営の上でも不都合が多かった。そこで昨年からは新しく規定を設けて便宜的に一勝一敗組から上位四組を選ぶことになった。選考基準は、ずばり「年齢」。ペアおのおのの生まれた日からリコー杯2002の初日12月8日までの日数を足してペアポイントとし、昨年はそのペアポイントの「高い」順に優先した。そして、今年は昨年とのバランスと公平さを保つために、一勝一敗の場合はペアポイントの「低い」順に優先する。よって今年は、小林(泉)・山下ペアのように若いもの同士の場合は、一勝すれば準々決勝に進出でき、逆に杉内・大竹ペアや楠・依田ペアのようにペアポイントが高いペアは絶対に二連勝しなければ準々決勝戦進出はままならない。
そのため、控え室での話題はもっぱら「年齢」と「誕生日」。「どっちが年上なの?」「えっ、もうそんな年だったの」。そんな会話が飛び交った。
金・加藤(正)ペアも二連勝以外に道は開けないという。「負けて元々という気持ちで、思い切りよくいきましょう」という加藤九段。金三段が大きく頷いて応じていた。 年齢によるペアポイントは以下。