勝負の前の控え室 |
控え室に次々と出場棋士が集まってきた。昼食を取りながら雑談に花が咲く。 |
ペア同士で隣り合って座ってもよさそうだが、なんとなく男性棋士と、女性棋士で二つに分かれてしまうのは気恥ずかしさのせいだろうか。 |
その中でただ一組、寄り添うように座って蜜に話し合っていたのは、前回の優勝ペアで今回も有力視されている楠・依田ペアだった。「ペア戦はコミュニケーションが大事」とは依田名人の口癖だが、早くも勝負は始まっているということか。 |
一方、一人でポツンとしていたのは山下敬吾七段。ペアの相手は小林泉美女流本因坊なのだが、泉美さんはお父さんの隣で楽しそうに談話中。「うちはいいんです。打ち合わせは。もうばっちりですから」と、山下七段。実は泉美さんにひとつだけお願い事をしたそうだ。「難しい定石だけはやめてくれと…。僕自信ないので」。 |
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美味しそうにお弁当を頬張るのは、知念女流棋聖。「ペア碁はねえ。強くなった気持ちになれて楽しいの」。予想する優勝候補を尋ねると、「私たちをを除いてですか?(笑)そうですねえ、祷さんと趙先生のところかしら…」。 |
そこにペアの相手である今村九段が登場。「あの、今トイレで思いついた作戦があるんですけれど」と耳打ち。果たして、どんな作戦なのだろう。知念さんがクスクスッと笑った。 |