リコー杯プロ棋士ペア囲碁選手権
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■リコー杯 決勝戦
13時15分、いよいよリコー杯プロ棋士ペア囲碁選手権2002が開演。 決勝戦に先立ち、主催者からの挨拶があった。
司会は元NHKアナウンサーの後藤美代子さん、アシスタントは渋沢真知子初段が務めた。
大会審判長は呉清源九段。
13時30分、呉審判長の合図で決勝戦が開始された。
対局と同時に行われる大盤解説の解説者は、武宮正樹九段、聞き手は小川誠子六段。同じ舞台の上で、対局が行われている関係上、解説には配慮も必要で難しい役どころだ。
記録と秒読みには、今年の4月からプロデビューする新初段の二人があたった。向井梢恵さんと潘 坤トさんである。
試合は、持ち時間はなく初手から一手30秒の秒読み。一分づつ10回の考慮時間があるというNHK方式。ただし、途中で30分の休憩時間があり、ここではペアによる打ち合わせが認められている。
握って祷・趙ペアの先番となった。
フツウは白30ぐらいのところだが、少し黒に走られていると意識しての選択だろう。
黒は37を利かしてから右辺の白を黒39から攻めに向かった。
白は50,52を利かして形を整えるが、黒51,53と代わられ下辺の黒模様を固めてしまったのが辛い。
依田名人の打った白8は意欲的な一手。これに対して趙名人も黒11とめずらしい手で対抗する。「普通は黒95に一間ジマリするぐらい。工夫の一手ですね」と武宮九段。
黒11から下辺に黒は模様を築き、白は上辺から右辺に模様を張った。
そこで黒25の打ち込みから、黒は上辺を荒らしに。白28は意外な一手。
ここまで好調の黒。だが、初めて二人の呼吸が乱れてしまう。
黒59で趙王座が73にツガなかったのは、黒61で3の四へのキリを期待していたから。
しかし、祷五段にその意思は通じず、結果、白に64と守られた上に後手を引いてしまった。ここでは「もう追いつけない」と、趙王座は思ったそうだ。
黒69が封じ手とされ、ここで休憩時間となった。
休憩時間はペア同士、どんな会話をしてもいいことになっている。左上隅で失敗した直後だったが、祷五段に「まだ大丈夫ですよ。先生、頑張りましょう」と言われて趙王座は勇気が湧いたとか。
会場のファンの間では、封じ手の予想が応募されていた。