リコー杯プロ棋士ペア囲碁選手権2005
report

加藤・王(立)ペア対岡田・武宮ペアの対局には、ギャラリー席の最前列に小・中学生が陣取っていた。王十段、武宮九段ともに、対局前に目をとじて集中。穏やかな立ち上がりだった。
大盤解説会場では、レドモンド九段が「地を欲しがる人(王十段)と、欲しがらない人(武宮九段)。対照的ですね。立誠さんは口では『手厚く打とう』と言っていましたが、やはり地を取ってますね。本能的なものでしょう」と、場内を沸かせた。この碁は、中盤あたりから加藤・王ペアがわずかに優勢に立つと、そのまま押し切って六目半勝ち。


加藤四段・王十段ペア VS 岡田六段・武宮九段ペア

局後の控室では…
大竹「事前の相談が決まったな?」
王「ええ。作戦どおり(笑)」

サインをする王銘エン九段
会場を埋め尽くすギャラリーの中に、小・中学生が目立つのは、最近の嬉しい傾向。それぞれ手作りのサイン帳にトップ棋士たちのサインを集めていた。
5歳の男の子は、成績一覧表の大きなパネルの前に立ち「万波佳奈ちゃんは……あ、負けちゃった。山下敬吾、山下敬吾…あ、負けちゃった」とがっかり。二人のファンだそうだ。


梅沢由香里五段と王銘エン九段ペア対小西和子八段・石田芳夫九段ペアの一戦は、大混戦の果てに「事件」が起こった。石田九段が痛恨の「二手打ち」で三目のペナルティーをとられてしまったのだ。そして結果は梅沢・王ペアの半目勝ち。

梅沢「もう全然わからなくて。ごめんなさい」
王(銘)「僕もわかってないんだよ。僕のこの手が悪かった」
という反省ばかりの検討時のやりとりを聞き、ギャラリーもしばらくは、どちらのペアが勝ったのかわからない様子だった。



梅沢五段・王九段ペア VS 小西八段・石田九段ペア

金賢貞三段と羽根直樹棋聖ペア対青木喜久代八段と三村智保九段ペアの一戦は、逆転につぐ逆転。「もしかして北京に行けるかなーと思いました」と金三段が振り返れば、青木・三村ペアも局後に「どこで悪くしたのかな?」(青木)、「それがよくわからないんだけど」(三村)のやりとり。形勢がいったりきたりしていた様子がよくわかる。最後に笑ったのは、青木・三村ペアだった。

三村「きわどいところでがんばってくれるから参ったよ」(青木八段が、攻め合いの渦中に手を抜いて、大ヨセを打ったようだ)
青木「はっはっはっ」(青木八段は明るい性格)
一方、敗者ペアは…
金「こんなに弱い石だったとは…すみません」
羽根「いや。僕もよくわかってなかったから」


青木八段・三村九段ペア VS 金三段・羽根棋聖ペア

今回初参加の金三段は「こんなに緊張したことはありません。でも、めちゃくちゃ楽しかったです! こんなに大勢の憧れの先生方とこんなに近くでお会いできただけでも幸せでした。また、出場できるようにがんばります」と会場をあとにした。