Pair Go RICOH CUP 2007 〜リコー杯プロ棋士ペア碁選手権2007〜
大会レポート Tournament Report
そして、第一回戦の組み合わせが発表された。 組み合わせが貼られたボードが現れると、会場の棋士たちが一斉に乗り出してボードを見つめた。


【A】鈴木 歩三段/張栩名人・王座・碁聖 ペア vs 岡田結美子六段/山田規三生九段 ペア
【B】井澤秋乃三段/ 王立誠九段 ペア vs 謝依旻三段/小林覚九段 ペア
【C】小川誠子六段/小林光一九段 ペア vs 青木喜久代女流名人/武宮正樹九段 ペア
【D】吉田美香八段/高尾紳路本因坊 ペア vs 祷陽子五段/今村俊也九段 ペア
【E】小林泉美女流最強位/趙治勲十段 ペア vs 小山栄美五段/王銘エン九段 ペア
【F】梅沢由香里五段/河野臨天元 ペア vs 加藤啓子五段/依田紀基九段 ペア
【G】小西和子八段/石田芳夫九段 ペア vs 大沢奈留美三段/羽根直樹九段 ペア
【H】万波佳奈女流棋聖/山下敬吾棋聖 ペア vs 矢代久美子女流本因坊/結城聡九段 ペア


上の対戦表を吟味した後、恒例の優勝候補を占う時間がやってきた。
まずは、大会審判長の大竹英雄名誉碁聖の予想は…
大竹「第一感は、山下・万波ペア。小林覚君と謝君のパワーもなかなか有力ですね」と、ここで一息ついてから「でも、本当は優勝してもらいたいのは『じいさま』ペア。ここにいる石田、小林光一だけど」と弟弟子たちを『じいさま』に。「そうすれば世界平和につながるのですが」と場内を笑わせていた。加えて「梅沢由香里五段と河野臨天元ペア、祷陽子五段と今村俊也九段ペアがダークホース。張栩君が忙しいからね、(奥様の)泉美・治勲ペアは全然だめでしょう」

続いて石田芳夫九段の辛口予想。こちらも毎年恒例のお楽しみとなっている。

石田「謝さんと覚さんのペアが一番優勝に近そう。(対戦相手の)井澤さん、今日来てるのでちょっと言いにくいんですが…(井澤秋乃三段はじめ、一同、笑)。
吉田・高尾ペア対祷・今村ペアは、高尾さんが好調ですが祷さんも好調、好勝負になりそうですね。治勲さんのペアは、ああ、ここはもう全然だめでしょう」と、大竹名誉碁聖同様、この日欠席なのをいいことに、弟弟子の趙十段にけちをつける評。お二方そろって、本音でないのはもちろんのことだ。

さらに続けて、「梅沢・河野ペア対加藤・依田ペアは、たぶん加藤さんは着物を着てくると思われます。あ、河野君も着物を着てくると強そうですね」と服装の勝負予想。そしてもちろん、小西・石田ペア対大沢・羽根ペアの一戦へのコメントは「羽根さんは勝てないそうだから、決まりですね」と締めくくった。


もう一人、武宮正樹九段にもマイクが向けられる。武宮九段は、やる気満々の真剣な表情で、まず「僕は青木さんとペアを組むのは初めてですが、けっこう棋風が合うんじゃないかなと思うんだよね」。その後は石田評を批判して「羽根さんのペアは強いですよ。ねー。せっかく名古屋から出てきてるのに。泉美・治勲ペアもね、やっぱりそれは強いですよ。ばかにしたもんじゃありません」


笑いに包まれながら、優勝予想コメントが終了。席がお隣同士の小川・小林光一ペアからは、早くも作戦会議を始めているのが聞こえてきた。

小川「どんなふうに…?」

小林「…何局か並べると雰囲気がわかるから」

残念ながら小声だったために、上の会話しか聞き取れなかったが、気合十分なことがうかがわれる。


皆から優勝候補にあげられた初出場の謝三段は「プレッシャーです。ペア碁は、韓国の合宿で打ったことがありますが、すべて私のせいで負けました。でも、覚先生は、一度も打ったことはありませんが、私が変な手を打っても許してくれそうだからホッとしています」とにっこり笑っていた。


今一度、対戦表をご覧いただきたい。名勝負がズラリと並んでいて、どの対局も目が離せそうにない。
果たして二日目に駒を進めるのはどの8ペアだろうか。第一回戦・第二回戦は、12月2日(土)、恵比寿・ザ・ガーデンホールにて、午前11時よりスタートする。

(取材/構成:高見亮子)




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