Pair Go RICOH CUP 2007 〜リコー杯プロ棋士ペア碁選手権2007〜
大会レポート Tournament Report
さて、対局会場に隣接する大盤解説会場では、対局と同時進行する大盤解説会が行われた。解説と聞き手は昨年と同じ、マイケル・レドモンド九段と佃亜紀子五段。この「ペア」も人気が高く、開場と共にこちらの椅子に座るファンでたちまち満席となっていた。レドモンド九段のわかりやすく、ウィットに富んだ流暢な解説には定評がある。佃五段のときおり見せる「突っ込み」も会場を笑わせていた。


万波佳奈女流棋聖・山下敬吾棋聖のペアは、矢代久美子女流本因坊・結城聡九段との激突。レドモンド九段で中盤までの経緯を紹介すると…「気合の入った一局ですね。白(矢代ペア)は、下辺の損が大きい。黒(万波ペア)は左辺の動き出しをにらんでいますが・・・あ、やはり動き出しましたね。白の方が大変な形勢です」。
昨年優勝の鈴木歩三段と張栩王座・碁聖のペアは、規定によりペア継続。このペアからは自信がみなぎっている。対するは、岡田結美子六段と山田規三生九段のペア。レドモンド九段の形勢判断は「難しい碁ですが…黒(鈴木ペア)がやや厚いですね」。


最初に勝ち名乗りをあげたのは、参加棋士たちの間で最も「優勝候補」の呼び声が高い、謝依旻・小林覚ペア。「一回戦から優勝候補と当たっちゃった。でも、このペアに勝てば、僕らが優勝候補かな?」と自信ものぞかせて王立誠九段だったが…「謝さんはとことんがんばるキツイ手を打ちます。対する王さんもキツイ手を打ちます。激しい碁ですね」と解説するレドモンド九段が「やや黒(鈴木ペア)がいいかな・・・」と予想してから間もなく、王・井澤秋乃三段ペアが投了を告げた。


激しい碁とは対照的に(?)、和やかな笑いに包まれていたのが、吉田美香・高尾紳路ペア対祷陽子五段・今村俊也九段の対局。吉田八段の「なんとかして〜」という悲鳴に高尾名人が吹き出すと、思わず祷五段と今村九段も吹き出してしまった。それから間もなく、またまた四人が笑いに包まれた。今度は吉田八段の打った手に高尾名人が「うん」とうなずき、これに今村九段が「うんか〜」とボヤキ声をあげた模様だ。この碁は最後まで残る大熱戦。並べて吉田・高尾ペアが2目半勝ちをおさめた。


一回戦の結果は以下のとおりだ。


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一回戦を終え、反省と作戦会議に向かっていたのは、小川誠子六段・小林光一九段ペア。お二人は兄弟弟子でもあり、会話が途切れることなく碁の話にムチュウになっていた。
梅沢由香里・河野臨ペアを下した加藤啓子五段・依田紀基九段ペアは、ホッと一息。「最初に私が薄くしてしまって」(加藤)、「最初は危ないかと思ったけど、態勢を立て直して」(依田)と、言葉少なに振り返っていた。
「難しい碁で、はらはらドキドキでした」とにこやかな笑みだったのは小林泉美女流最強位。ペアの趙治勲十段は「僕は打つ順番を間違えないように気をつけていただけ。何しろ泉美ちゃんが強いですから。私はソバにいるだけで。こんな幸せなことはないです」
ペア碁で勝ったことがない…という羽根直樹九段。そういえば昨年か一昨年、奥様に「たまには勝ってらっしゃい」と家を送り出されたという話を聞いたことがある。が、大沢奈留美三段とのペアは、小西和子八段・石田芳夫九段ペアに中押し勝ち。にこにこ顔の大沢三段の隣で羽根九段は「珍しい…!」


一回戦対局後の中休みは短い上に、棋士たちは勝っても負けても興奮冷めやらぬ様子で碁の話が尽きない。「間もなく二回戦が始まります」というスタッフの声にハッとする棋士がほとんどだ。かくして、二回戦が始まった。二回戦は勝ったペア同士、負けたペア同士の組み合わせとなるが、一回戦同様、目の離せない対局が目白押しだ。


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