終局後、4名が大盤解説会場の壇上に現れると、会場からは割れんばかりの拍手が贈られた。
石田「左辺のツケは、黒の鋭い狙いでしたね。あれで動揺して、白は誤順したのかな?」羽根「加藤さんの番なのに、私が打ってしまったんです。しかも、いい手を打ったならまだしも、悪い手を打ってしまった(笑)」井山「左辺で得をして、その上、ペナルティの3目までいただいて、僕が喜び過ぎたのが敗因でした(笑)」
熱戦を振り返りながら、両ペアと石田&小川大盤解説ペアの検討が大いに盛り上がった後、改めて、インタビューのマイクが対局者4名に向けられた。 井山「今回はいけると思ったのですが・・・」 謝「私も今回はいけると思ったのですが・・・。最後、半目残っているのではないかとひそかに思ってましたが、残念でした」 しかし、井山八段、謝女流本因坊・女流名人がそれぞれ「来年、出直してきます!」と笑顔で話すと、会場からは大きな拍手が沸き起こった。
加藤「最後の最後まで、どちらが勝っているかわからなくて・・・半目勝てて本当に嬉しいです」 羽根「僕が悪い手を打ちダメにしてしまったかなと思う場面もありましたが、いい結果で終わってホッとしています」 これまで、不思議と「ペア碁」の勝率の悪かった羽根本因坊は、初優勝の喜びもひとしお。加藤にも増して満面の笑顔だった。
この後、表彰式が行われ、優勝ペアには500万円の目録が贈られた。なお賞金の一部からは、全国から希望のあった小学校・中学校に囲碁用品を寄贈されることになっている。 加藤&羽根ペアは、優勝予想クイズの当選者を読み上げて記念品を配るなど、ファンサービスにもつとめ、熱い一日がしめくくられた。「面白い碁になって、ファンの皆さんにも楽しんでいただけたと思います」羽根本因坊は満足した表情で会場をあとにした。
決勝戦の終局間際までファンをハラハラさせながら盛り上がった今大会。ピッタリ息の合った加藤&羽根ペアの連覇はなるか。新たに誕生するどんなペアがこれを阻むのか。一年後の「ペア碁」に思いを馳せながら、レポートをしめくくることにする。