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大会レポート
<オープニングセレモニー>
3月17日

 「ペア碁ワールドカップ2022ジャパン」のオープニングセレモニーが3月17日午前10時半からザ・キャピトルホテル東急「鳳凰の間」で行われた。会場には参加する棋士のほか、多くのマスコミ関係者が詰めかけた。


 初めに日本ペア碁協会の松浦晃一郎理事長が「世界75ヵ国・地域に広がっているペア碁をさらに大きく育て、平和の祭典であるオリンピックにも採用されるよう活動していきたいという思いも込め、この大会を開催したい」と力強く開会宣言。続いて日本ペア碁協会の滝裕子筆頭副理事長(全日本囲碁連合会長)が「2020年の開催を目指して準備していたワールドカップがコロナのせいで2年待たされてしまったが、スポンサー各社などに待っていただいたおかげで無事、開催されることになったのはうれしい限り。囲碁の力、ペア碁の力で世界を一つにしたい」と挨拶した。

 オンラインで対局に参加する海外の棋士からはビデオメッセージが寄せられ、中国の柯潔九段からは「この大会が盛り上がるのは間違いない」、韓国の朴廷桓九段からも「面白い内容の碁になると思う」と大会の成功を確信する言葉があった。また、中華台北の黒嘉嘉七段は日本語を交えつつ、「日本に行けないのは残念だが、オンラインでも参加できるのはうれしい限り」と述べた。

 続いて来賓代表として日本棋院の小林覚理事長が「最近は女性棋士が強くなり男性棋士との力の差がなくなっている。卓球などのスポーツでも混合ダブルスが注目されており、オリンピックでの正式採用に向けて、この大会の成功を願っている」と挨拶した。

松浦晃一郎 大会会長
滝裕子 大会実行委員長
柯潔九段のメッセージ
小林覚 日本棋院理事長

大会テーマソング「アイオイ」

ペア碁スペラーズによる「アイオイ」の披露

 緊張感に包まれた開会式の舞台が突然華やいだのが、この大会の公式ソング「アイオイ」の発表のときだ。アドバイザーに松任谷正隆氏、プロデューサーに武部聡志氏という顔ぶれだけでも驚かされるが、それに加えて歌うのがゴスペラーズにNAOLUNA、平田まりなという女性シンガーを加えた新ユニット「ペア碁スペラーズ」。小山薫堂氏が作詞し、ゴスペラーズの北山陽一氏が作曲するという豪華メンバーにより世に送り出された曲が披露され、超一流のプロ歌手による洗練されたハーモニーに、会場は一般客がいないのがもったいないと思えるほどの感動に包まれた。

 演奏後、舞台に上がった小山氏は「相生(アイオイ)という言葉は夫婦が一緒に長生きするという意味で、ペア碁の精神に近いものがある。直接、ペア碁の歌とわからないような内容で、なおかつペア碁好きが聞いたらニヤッとするような詞にした」と制作秘話を披露。北山氏は「『曖昧なあなたの手が わたしを惑わせる』という部分は、『曖昧な手を打ってごめんね』という気持ちで歌った」と碁好きらしいコメントで会場を沸かせた。

特別併催「プロ棋士ペア碁選手権2022」組合せ抽選

小山薫堂さんの抽選

 ペア碁スペラーズのフォトセッションの後、小山薫堂氏、コシノジュンコ氏、里中満智子氏による、「プロ棋士ペア碁選手権2022」の対戦相手を決める組合せ抽選会が開かれた。参加棋士の関心は初戦でどの組と当たるか。前回優勝の知念かおり六段・一力遼棋聖ペアがいきなりタイトルホルダー同士の藤沢里菜女流四冠・関航太郎天元ペアと激突することが決まると、棋士たちからはため息がもれていた。注目の仲邑菫二段・村川大介九段ペアが初戦で牛栄子四段・大西竜平七段ペアと当たるなど、注目の好カードが目白押しとなった。

ベストドレッサー賞 漫画家部門賞

 30年前の第2回国際アマチュア・ペア囲碁選手権大会から続いているベストドレッサー賞は、平和を願うペア碁の活動を象徴するイベント。今回は、今年12月に開催が延期された「ペア碁公式ハンデ戦」に出場する世界各国・地域のアマチュア32ペアに民族衣装などでドレスアップして撮ってもらった動画を事前に送ってもらい、それらをベストドレッサー賞の審査委員長を務めるデザイナーのコシノ ジュンコ氏と、特別審査員の漫画家4人とに審査してもらった。各漫画家には、それぞれが選んだペアの動画をもとにイラストの制作もお願いした。受賞は以下の通り。

ベストドレッサー賞発表
里中満智子氏
里中満智子賞
志賀公江賞
三浦みつる賞
高木ユーナ賞

<里中満智子賞> 中華台北 呉思嫺・陳威霖ペア
 里中氏コメント「色合いがペアらしく、調和がとれている。エネルギーに満ちたデザインで戦う二人の意欲が伝わってくる」
 呉さんコメント「伝統衣装を着られたのはうれしい経験。自分が有名な里中先生のキャラクターになるとは思ってもいなかったことで、一生の宝物」
 陳さんコメント「自分たちの衣装が里中先生の目に留まるとは思っていなかったので、とても驚いている。僕はこの衣装を着て、まるで戦闘服を着たような気分になった」

<志賀公江賞> ルーマニア アントニアスタンチウ・ロベルトアンドレイグロス ペア
 志賀氏コメント「動画の『こんにちは』という二人の挨拶に心を鷲掴みにされた」
 受賞者コメント「女性の衣装は100年以上前の天然素材を使って作られた伝統的なもの。イラストが丁寧に描かれ、本当にうれしい」

<三浦みつる賞> ウクライナ アンナメルニク・フセヴォロドオフシエンコ ペア
 三浦氏コメント「審査したのは2月上旬で、絵に取り掛かったのは2月24日。『よし描こう』と思っていた時にウクライナ侵攻のニュースが流れてきて二人のことを心配していた。平和がきて、まだ若い二人が自分の国で楽しく碁が打てるようになることを願っている」
 受賞者コメント「ウクライナの民族衣装を着ると幸せ、自信、安心を感じることができる。ウクライナのことを考えると悲しくなるが、この(三浦氏の描いた)イラストを見ると笑顔になれる」

<高木ユーナ賞> ソロベニア ヴェラルペル・ティムクランチシャル ペア
 高木氏コメント「二人とも同系色のコーディネートにワンポイントがあって魅力的に感じた」
 受賞者コメント「娘が(高木氏の)ファンで『群舞のペア碁』の英語版が出るのが楽しみ。二人で選んだ衣装をかわいいイラストにしてもらい、遠い日本と心がつながっているように思えた」

ベストドレッサー賞 コシノ ジュンコ賞審査委員長の各賞発表

ナショナルコスチュームアワード 
チャーミング アワード
ナイスペア アワード

<ナショナルコスチューム アワード> ハンガリー ジョフィアシモン・アロンゴシュラー ペア
 コシノ氏コメント「私はハンガリーに行ったことはないが、とても素敵な国だということが(二人の衣装から)わかる。そういう意味でこのペアの豪華な衣装は歴史と伝統がとてもよく出ている」
 受賞者コメント「ハンガリーのパローツ地方ホッローケー村は世界遺産の一部にもなっている村。そこの民族衣装はとても有名で、主にイースターや聖霊降臨祭などで着られることが多い。この数百年前の民族衣装を着ることができたのは素晴らしい体験だった」

<チャーミングアワード> ウクライナ アンナメルニク・フセヴォロドオフシエンコ ペア
 コシノ氏コメント「12歳のお二人は今、別々の国に避難されているそうですが、一日も早くウクライナが平和になって、チャーミングな二人が元気で(ペア碁の大会に)参加できることを願っている」
 フセヴォロドオフシエンコさんコメント「ウクライナの伝統衣装は、来ている人を守ってくれるお守りのように考えられていて、僕たちの衣装も、家族やウクライナを侵略から守ってくれると思っている。今は囲碁グループの人たちと一緒にチェコ共和国にいて安全だが、12月の公式ハンデ戦に出られること、早くウクライナに帰れることを願っている」

<ナイスペアアワード> ルーマニア ラウラアヴラム・オーストリア ダニエルベスツェ ペア / スロベニア ヴェラルペル・ティムクランチシャル ペア
 コシノ氏コメント「ルーマニアとオーストリアのペアは、違う国同士でどういう風にコミュニケーションをとっているのかと思うくらい素晴らしい組み合わせ。とても良い感じのペアで、お互いにフォーマルを着るということも一つの国の姿勢だと思う。スロベニアの方は、ご夫妻なんでしょうか。後ろの絵に溶け込んだ、絵のような感じのお二人がとてもチャーミングだ」
 スロベニアペアのコメント「コスチュームはスロベニアのシュタイエルス地方が発祥で、19世紀に農民や職人が良く着ていた衣装。コシノジュンコさんが我が国の民族衣装を選んでくださったことを大変うれしく、光栄に思う」

コシノ ジュンコ審査委員長の総評

 審査委員長のコシノ ジュンコ氏は、「2年越しでこのペア碁イベントが開催できたことは、とてもすばらしいこと。それぞれの国のペアが華やかな民族衣装を着て笑顔いっぱいで集うような元通りのペア碁が1日も早くできたら良いなと思っています」と語り、審査を総括した。


滝久雄 ペア碁創案者

 最後にペア碁創案者で、日本ペア碁協会の滝久雄名誉会長が挨拶。「1990年に私が創案したペア碁は世界75ヵ国・地域に広がっており、その普及拡大に貢献しているのがPGPP(ペア碁 プロモーション パートナー)の皆様で、すでに1500人を超えている。今後、ペア碁の国際大会をもっと増やしていくためには資金面で応援していただける協賛者、企業をさらに増やし、PGPPの皆様との交流を深めていく必要があり、近々、そのためのプロジェクトを立ち上げたいと思っている。世界平和にもつながるこのプロジェクトに協力していただきたい」と、ペア碁にかける思いを語り、オープニングセレモニーを締めくくった。

特別協賛

東京メトロ
東急グループ
楽天カード

協賛

伊藤園
三井住友銀行
SMBC日興証券
トピー実業
NEC
大興電子通信
パンダネット
富士フイルムイメージングシステムズ
フジサワ・コーポレーション
アドグラフィックス
日本交通文化協会
NKB
NKB Y's

主催

日本ペア碁協会 / 世界ペア碁協会 / ペア碁ワールドカップ2022 ジャパン 大会実行委員会

ペア碁ワールドカップ2022ジャパンは、beyond2020プログラム認証事業です。
「 beyond2020 」とは2020年以降を見据え、日本の強みである地域性豊かで多様性に富んだ文化を活かし、成熟社会にふさわしい次世代に誇れるレガシーの創出に資する文化プログラムです。
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