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プロ棋士ペア碁選手権2016

2016年2月6日(土) 開幕~1回戦

開幕

22回目を迎えたペア碁の祭典「プロ棋士ペア碁選手権2016」が、2月6日(土)に東京・市ヶ谷の日本棋院本院で開幕した。トッププロ男女16名ずつ、豪華なメンバーが揃って、1回戦から準決勝までが行われた。

日本棋院2階の大ホールでは、顔も名前もよく知るプロ棋士たちの真剣な様子を、ファンが間近に取り囲んで観戦することが出来る。一手一手の進行を追いながら、お目当てのペアを応援して、楽しい1日を過ごした。

ディフェンディングチャンピオンの小山栄美六段・羽根直樹九段ペアは、昨年に続いて優勝を狙う大本命である。そして、三連覇の経験がある謝依旻女流本因坊と二十五世本因坊治勲(趙治勲九段)のペアも上位進出が期待された。さらに、なんといっても注目されたのが、青木喜久代八段・井山裕太棋聖のペアである。井山棋聖は一昨年に初優勝を果たしている。青木・井山ペアの1回戦には、大勢のファンが取り囲んで、一番人気になった。相手が加藤啓子六段・山下敬吾九段ペアで、ちょうど棋聖戦で七番勝負を戦っている真っ只中だったものだから、井山対山下の番外編の対決にファンの期待が盛り上がった。他にもペア碁が得意な有望ペアが目白押しで、勝敗を予想するのも難しい組み合わせばかりである。ファンの興味が尽きない楽しい一日となった。

開会式

滝裕子日本ペア碁協会常務理事が、「ペア碁は世界中で楽しんでいただいています。さらに普及に努めて、オリンピックの正式種目にする夢に近づくために努力していきたいと思います」とあいさつ。

審判長の大竹英雄名誉碁聖は、「今年も井山さんや山下さんをはじめ一流棋士が揃いました。彼らの戦う様子をご覧になれば、なにか吸収できることがありますから、ご自身の囲碁の世界を広げるためにもいい一日を過ごしてください」とにこやかに話していた。

対局開始

1回戦8局の組み合わせの棋士たちが順に紹介されて、対局の席につくと、取り囲んだファンたちが拍手で迎え入れる。対局前は棋士たちも和やかで、ルールやお互いの手番を確認したり、笑顔のやり取りがあった。それが、対局開始の合図とともに、真剣な表情で碁盤に集中して行く。にこやかに見つめていたファンたちも、しんと静まり返ってピタッと動かなくなった。記録係の、「10秒…20秒…」と秒を読む声が会場に響いていた。

解説会

1階で終日行われた解説会も満員の盛況だった。解説は二十四世本因坊秀芳(石田芳夫九段)と小川誠子六段が務めた。次々に対局を紹介して行く石田九段は、優劣の判断がとても早い。この手が悪いから相手が優勢と、分かりやすく指摘するので、ファンにとっては碁の流れを把握しやすくてありがたい。一つの碁の判断を示すと、すぐ他の碁の解説に移る。それが、再び元の碁に戻ると、予想外の大逆転が起きていることも少なくない。石田九段が頭を抱えながら、解説をやり直すのも楽しい一幕である。

1回戦

青木喜久代八段・井山裕太棋聖ペア vs 加藤啓子六段・山下敬吾九段ペア
1回戦で一番注目を集めた一局である。山下九段は、「途中はっきり悪くした」と言っていたが、なんとか勝ち星を上げて気分を良くしていた。いいところで勝ちましたねと聞くと、「そうですね。はい」と笑顔が弾けた。

小山栄美六段・羽根直樹九段ペア vs 吉原由香里六段・柳時熏九段ペア
昨年優勝の実力者、小山六段・羽根九段ペアが早くも1回戦で敗退した。盛り上がる吉原・柳ペアとは対照的に、検討が終わって碁盤から離れると二人とも肩を落としていた。どうしちゃったのかと羽根九段に尋ねると、「得意の薄い碁にしてしまいました。ペア碁ではやらないと決めていたのですが、いつのまにか薄くなって悪くしました」と苦笑いである。羽根は薄い碁をシノぎながら勝つのが得意だが、ペア碁では攻められるのは危険である。小山六段も、「わたしのせいで、ダメにしてしまいました」と反省しきりだった。

謝依旻女流本因坊・二十五世本因坊治勲ペア vs 矢代久美子六段・山城宏九段ペア
最強の謝女流本因坊と組んだ二十五世本因坊治勲は好成績を残すチャンスである。本人もそう思ったらしいが、「よく考えたら、負けたら大変なことになっちゃう。プレッシャーが大きいんだ」と笑っていた。見事初戦を制して、ホッとした様子だった。

小西和子八段・依田紀基九段ペア vs 藤沢里菜三段・結城聡九段ペア
藤沢三段はまだ17歳ながら、すでにタイトルを経験している実力者である。ペア碁も強い結城九段と組んで期待されたが、小西・依田ペアの前にあえなく敗退してしまった。結城九段は、「いいところが全然なかった。完敗です」と渋い顔をしていた。

王景怡会津中央病院杯・村川大介八段ペア vs 万波奈穂三段・張栩九段ペア
昨年初タイトルを取った王会津中央病院杯が村川八段とペアを組んだ。王会津中央病院杯は、「苦しい碁でしたが勝ててよかった」と振り返っている。タイトルの効果なのか、運も味方につけている。

向井千瑛五段・一力遼七段ペア vs 吉田美香八段・小林覚九段ペア
向井五段は、「一力さんと組むことになって、今年はいけるという予感がしました」と明るい。その自信が好結果につながったか、ペア碁の実績があるベテラン勢を押しのけて二回戦進出である。

青葉かおり四段・余正麒七段ペア vs 奥田あや三段・高尾紳路九段ペア
有力ペアと予想されていた奥田・高尾ペアがしっかり勝ち切っている。高尾九段は、「打ち合わせはしっかりやりました。ともかく1回戦を勝ててよかった」とうれしそうだった。青葉・余ペアにもチャンスはあったようだが届かなかった。

鈴木歩七段・河野臨九段ペア vs 知念かおり五段・小林光一名誉棋聖ペア
鈴木・河野ペアは優勝候補の一角である。ともかく強い。河野九段の師匠である小林名誉棋聖は、「恩返ししてくれないんだ」と笑いながら、「負けちゃったけど楽しい」とご機嫌だった。

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