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決勝戦は、会場に設置された舞台上での公開対局だ。同じ壇上の上手側(客席から向って右手側)には大盤が置かれ、対局と同時進行による大盤解説が行われる。
記録は潘坤ト初段、秒読みは向井芳織初段。
石田芳夫九段、小川誠子六段も所定の位置につき、大竹英雄名誉碁聖が対局開始宣言をし、対局が開始された。 |
大竹名誉碁聖のあいさつの中でも触れられたように、この対局は、インターネットで同時中継され、世界100カ国以上で観戦できる。ネット上の解説は、溝上知親八段が担当した。 |
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握って鈴木・張ペアの先番だ。
「張栩さんは昨日、散髪に行かれたそうですよ。気合が入ってるのでしょうね」と小川六段。この声が聞こえたらしく、気合の入った張栩碁聖の表情が一瞬ほころんだ。
さて、山田九段は、最近短手数の碁が多い。厚く打って戦う棋風から、つくり碁にならないことが多いようだ。この決勝も、期待にたがわず、序盤から戦いの碁に突入した。 |
決勝戦の公開対局&大盤解説といえば、思い出されるのは一昨年の北京対局。一流棋士の大盤解説は、開場を埋め尽くした囲碁ファンを終始爆笑の渦に巻き込んでいた。中国語は理解できなくとも、見事な話術に圧倒されたものだった。
この日の石田&小川コンビの息の合った大盤解説も圧巻。辛口コメントに会場のファンが沸き、戦いの急所を次々と言い当ててはファンを魅了した。 |
盤上大戦争、岡田・山田ペアが攻め、鈴木・張ペアがしのぐ展開となった波乱万丈の一局は、対局中、小さなハプニングが起きていた。石田九段が「素晴らしい妙手。見事な呼吸のツケ」と絶賛した黒のシノギの一手は、実は誤順で打たれていたのだ。本来ならば鈴木三段が打つ手番だったところを張碁聖が打っていた。その数手後に、こんどは鈴木三段が続けて二回打ったことで打つ順番は元どおりに回復。記録係の両名以外は、誰もこのことに気づいておらず、終局後、控室で検討しながら誤順が発生していた事実が発覚したときには、四名は顔を見合わせて笑い出していた。 |
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山田「全然気がつかなかったね」
岡田「ええ」
鈴木「しかも、ど急所で」
張「四人で気がつかないのもひどいよね(笑)」 |
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双方10分の考慮時間も使い果たし、なお険しい戦いが続くなか、鈴木・張ペアに無念の見落としがあった。中央の黒の大石が死んでしまうと、息づまる戦いに終始譜が打たれ、どうやら勝敗も決したようだ。間もなく、鈴木・張ペアが投了を告げた。 |
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