Pair Go RICOH CUP 2008 〜リコー杯プロ棋士ペア碁選手権2008〜
大会レポート Tournament Report

大沢・趙ペアと小西・坂井ペアの一戦は、白番の大沢・趙ペアが布石でじっくりとした打ち回しを見せ、レドモンド九段の解説によれば、「白の打ち方は(6目半の)コミ碁の見本」となる進行。その後、お互いに模様を張り合い、荒らし合う展開となった。

「趙先生は負けると、この大盤解説会場に乱入してくるのですが、今年は勝っているので、現われませんね」というレドモンド九段の言葉に、ここ数年続いていた「趙十段の乱入」⇒「趙&レドモンドにわか解説会」⇒「場内大爆笑」を知っているファンから笑いが起こった。矢代五段も「趙先生の解説を聞きたいし、でも対局にも勝ってほしいし、複雑ですね」。


さて、この対局は、白が黒模様の荒らしにまずまずの戦果をあげた後、白模様の中で険しい戦いが始まった。黒が大暴れして優勢に立ったかに見えたのだが、「黒に大錯覚があった」とレドモンド九段。「形勢は不明」となり、険しい戦いが続いていった。
刻一刻と盤上の景色が変わっていき、一体形勢がどうなっているのか、見ている側が追いつかない。「白が損をしたのか?」と思われた次の瞬間に、中央に大きな白地がまとまって、形勢は一気に白に傾いた。黒の最後の勝負手は空振りに終わり、小西・坂井ペアが無念の投了となった。


坂井七段は、ペア碁を打つのは「13年ぶり」だったという。13年前はまだアマチュア。ペアを組んだのは、なんと、やはりまだアマチュアだった梅沢由香里さん。アマチュア大会で優勝し、第1回リコー杯の優勝ペアとの記念対局を打ったそうだ。ちなみに、第1回リコー杯の優勝ペアは、石田芳雄九段と小西和子八段(!)だった。
「だんだん勘がつかめて、今日はリラックスして楽しみました。残念でしたが、一生懸命打ちました」と局後の坂井七段。そして、「ただでさえ早碁は波乱が多いのに、ペアなので、しかも相手もペアなので、波乱が4人分。変わった碁で、スリリングで、楽しめました」と13年ぶりの「ペア碁」を存分に堪能した様子だった。


さて、もう一局、小林泉美・今村ペアと謝・河野ペ アの対局は、坂井七段の言葉を借りれば「波乱の4
乗」の展開(!)となった。大盤解説もおおいに盛
り上がり、レドモンド九段が「こう打ってこう打て ば、黒の大石を取れます」と白の立場で解説すれば、矢代五段は「こう打てば、白の大石を取れます」と黒の立場で解説。さらに「すごいね。そうなれば、ここが全部白地ですよ」とレドモンド九段が碁盤の半分ぐらいを指せば、矢代五段が「でも、ここは全部黒地ですよ」と残りの碁盤半分を指し、二人はほとんど同時にしゃべる興奮ぶり。そのやりとりに、会場からは拍手が沸き起こったほどだった。
実戦は、解説どおりの大フリカワリの進行をたどり、お互いに、巨大な地が出現した。一体どちらが勝っているのか、地が大きすぎて、なかなか数えられない。
ファンの歓声の尽きないこの対局、結果は黒が5目半勝ちをおさめた。


対局後、控室からは…
泉美「ショウとしての囲碁では完璧」
今村「ですね。半目勝負だったら、いうことなかったんだけど…」
泉美「ええ。それだけが心残りです」 という会話が聞こえてきた。
小林泉美六段は「充実感があります」と笑顔で話していた。
今村九段は、まだ反省会を続けていた梅沢女流棋聖らに「今村先生、ぐったりしてますよ」、「大丈夫?」と見送られて、会場をあとにした。

改めて、決勝に残った2組のペアを紹介しよう。

二日目閉会式が始まる直前、趙十段が「え!君たち?」というように、謝・河野ペアを指さし、「まいったね〜」と声をあげていた。このカードは、大会初日の二回戦でも組まれており、本大会で2度目の対戦だ。

大沢奈留美三段・趙治勲十段ペア[白番中押し勝ち]
謝依旻女流本因坊・河野臨天元ペア[黒番5目半勝ち]

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